民野宏之展「1997-2012」
静けさの中に海外を思わせるスタイリッシュなクロスホテル札幌のフロントへ着くと、そこに掲げられた1枚の絵に目を奪われる。手を伸ばせば触れそうな、溶けかかったアイスバーを表現した油彩の絵。まるで時間を切り取ったかのように丁寧に描かれたこの絵は、画家・民野宏之の代表的な「アイスバー」シリーズだ。
2011年からSHIFTとのコラボレーションによりアート作品の展示を行う「まちなかアート」のクロスエディションとして、民野宏之展「1997-2012」がクロスホテル札幌にて、開催されている。このプロジェクトでは、年間を通して道内作家の展覧会を行うことで、札幌から世界に向け道内のアーティスト情報を発信している。本展は同企画の第4弾。
“ホテル”という場所を使った展示は、美術館やギャラリーで行われる展覧会とは別の魅力がある。主に作品が多く飾られるラウンジは、ブラックの壁の他、レンガ風の壁、サテンのような質感で柄の入ったピンクの壁など、絵画の背景としては少々派手すぎるのではないかと思われるものもある。だが不思議なことに、前回までの矢柳剛のカラフルな作品、ワビサビのモノクロの作品など、どの作品でも違和感がなく、むしろそれぞれの絵の魅力をより引き立ててくれるのだ。
そして期待を裏切ることなく今回の民野氏の作品にもとてもマッチしているのである。また、表裏に2枚の作品を見せるホテルのエントランスの作品や、真っ赤なピアノやシックな掛け時計などのインテリアとのコラボレーションも見所となっている。
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