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アートフェア札幌 2013

HAPPENINGText: Ayumi Yakura

国内外20のギャラリーが札幌に集結。札幌初の国際的アートフェアが開催。

あなたは「アートを読み解く力」を必要としているだろうか。同じ意味で「アートリテラシー」という言葉があるが、「情報リテラシー」(氾濫する情報の中から、必要に応じて正しい情報を選別し、読み解いて使いこなす能力)と比較すると、その必要性は曖昧なものかもしれない。

11月23日・24日、クロスホテル札幌で「アートフェア札幌2013」が開催された。北海道では前例の無い、国際的な現代アートの見本市だ。国内外から札幌に集結した20軒のギャラリーが、推している所属アーティスト達の作品を出展し、販売を行った。著名な大御所から新進気鋭の若手まで、合計200組を超える現代アーティストの作品が揃うのは圧巻だった。来場者は入場無料で、それらを自由に巡って鑑賞し、プロの説明を受けながら理解を深め、欲しい作品があれば商談することができた。

両日ともに多くの来場者があり、その波は途切れることなく続いた。事前にマスを含む各種メディアで紹介され、SNS等で口コミが広まった効果により、道内外のアート関係者やコレクター、学生から一般市民まで、週末の2日間にわたり幅広い層を集客することに成功したようだ。

写真:小牧寿里

ホテル型のアートフェアを行う最大のメリットは、ホテルの客室を巡る「非日常」を楽しみながら、アートが自宅にある「日常」をイメージできることだ。今回は、13階・14階のフロアーを貸し切り、1軒につき1部屋を与えられた20軒のギャラリーが、壁面のみならず、ベッドやバスルームなども巧みに使用しながら、バラエティ豊かに作品を飾っていた。

写真:小牧寿里

会場となったクロスホテル札幌は、2007年の開業以来、ホテル内部に留まらず「サッポロ・シティ・ジャズ」とのタイアップや、「ART-X」(アートクロス)などの新たなアートイベントの企画を行っており、年間を通して地域の文化向上やイメージアップに貢献している。市民や地元企業から常に注目され、集客力に長けているうえ、前例のないアートフェアであっても、参加ギャラリーの要望へ柔軟に対応し、来場客へ行き届いた案内をすることが可能となった。

写真:小牧寿里

さて、肝心の展示内容を紹介する前に、「なぜアートフェア札幌を開催する必要があったのか」「アートフェア札幌ならではの特色とは何か」という、重要な2点を確認しておきたい。

今回、多くの市民の目が良質な現代アートに触れたことは、札幌のアートマーケットにとって、良い循環を生むきっかけになったのではないだろうか。来場者にアートの購入が習慣付けば、札幌にアートマーケットが生まれる。それにより、作品を売って生活できるアーティストが増えれば、才能の流出を防ぐことができる。結果として、札幌から数多くの良質な作品が生まれ、アートマーケットの活性化が期待できるのだ。

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