レイモンド・ペティボン展
HAPPENINGText: Terevision Ruiz
バルセロナ現代美術館(MACBA)は、バルセロナ現代文化センター(CCCB)の隣にある。毎年、エレクトロニックミュージックとデジタルアートのフェスティバル・ソナーのメイン会場として使われている場所であり、昨年は約8万人の入場者を数えた。展覧会、ワークショップ、カンファレンス、様々なイベント等、最高のラインアップを提供する現代美術館。最近では、2つの展覧会を同時に開催中。アメリカ人のレイモンド・ペティボンと、スペイン人のチョミン・バディオラによるものである。
レイモンド・ペティボン(1957年アリゾナ生まれ)は、作品が音楽と親密に繋がっているのが特徴だ。彼の兄、グレッグ・ギンは、ハードコアのパンクバンド、ブラックフラッグと、レコードレーベル「SST」の創設者だ。これらがペティボンのキャリアに強く影響を及ぼしているのは言うまでもない。兄のために制作した、彼のドローイングとテキストが掲載されたジンのシリーズは、リミテッド・エディションとしてライブ会場で配付された。
全体的に彼の作品は、テレビ、漫画、セックス、宗教、巨大なアメリカンカルチャー、そして有名なゴヤのエッチングに影響を受けている。ドローイングは、社会的、そしてアンダーグランドのコンテンツがベースになっており、ヒッピー、パンク、サーファー、スポーツヒーローといった彼のキャラクターのモチーフになっている。
80年代にポスターとレコードのカバーからギャラリーやミュージアムに方向転換したレイモンド。彼の展覧会は一般的に小さいフォーマットのドローイングのコンビネーションや、壁画等だ。今回は彼にとって初のスペインでの展覧会であり、美術館の壁に直接、大規模なドローイングを施した。アート作品のエリアに進出しつつある、コミック・グラフィックに対抗したようなものである。
Txomin Badiola, SOS, 2000-2001
チョミン・バディオラ(1957年ビルバオ生まれ)は、彼の過去10年間の作品のリビジョンを発表。現在はスペインに住居を構える彼だが、かつては彼の作品的に大きな変革をもたらしたロンドンとニューヨークにも住んだ経験がある。彫刻、写真、ビデオ、サウンド、家具のデザインから暴力、同性愛、政治的またはメディアの操作などの概念にリンクされた言語のミックスによって、来場者がいくつかのナレーティブなモンタージュを引き出すことをアーティストは期待している。
バルセロナ現代美術館で展示される作品は、写真作品、彼の一時的な建築物やパッケージング途中の構造物といった、カウンター彫刻シリーズ、および彼のビデオグラフィック作品で構成されている。また、展覧会は、地元のアーティストが参加するワークショップを記念して、バディオラが展覧会場と同じエリアで制作する新ビデオ作品で幕を閉じることになっている。
Raymond Pettibo Exhibition
会期:2002年2月8日(金)〜4月11日(木)
会場:MACBA
住所:1 Place dels Angels, 08001 Barcelona
TEL:+34 93 412 0810
press@macba.es
https://www.macba.es
Text: Terevision Ruiz
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Courtesy of MACBA (Contemporary Art Museum of Barcelona)