プレイス展

HAPPENINGText: Lotje Sodderland

プレイス」は、バサバがプロデュース、キュレーションを手掛けたクリエイティブな探究プロジェクト。世界中の35組のデザイナーとコラボレーションし、グラフィックデザインというメディアを通して、文化や社会規範がクリエイティビティに与える影響を探究するというものだ。

18カ月の間、白紙のスケッチブックとDVカメラ、カスタマイズされることを待ちわびている白いTシャツが入ったスーツケースが、世界中170,000kmの旅をした。コペンハーゲンからカラカス、モスクワからモントリオール、ダーバンからダカールなどなど…。つまり、そのスーツケースが、世界中からバサバが選んだスタジオのドアへ赴き、その中に用意されている道具だけを使って、それぞれのアーティストに自分の生きている世界を表現してもらうというプロジェクトなのだ。

そのスーツケースが何ヶ月もかけて地球を走りまわりながら、参加アーティストそれぞれの“場所”という解釈をモノやイメージという形で集めてきた、35のアートワーク、カスタマイズされたTシャツ、スケッチ、映像を展示したとびきり素晴らしい展覧会が、バルセロナのアートなホットスポット、バルセロナ現代文化センター(CCCB)で開催された。

会場に入ってまず目の前に飛び込んできたのが、本から抜き出した主な作品を拡大し、壁一面に貼付けた巨大なコラージュ。その他の壁には、クラシカルな額に入れられた“場所”を表現したグラフィック作品が、飾られていた。

このプロジェクトには、参加アーティストはアナログの作品のみしか提出できないというルールがあったそう。それによって、この展覧会には、生っぽく、かつシンプルな要素が溢れ、それがデジタルが支配している今日のグラフィックデザインと対照的で、とても新鮮に感じられた。それらの作品は、デザイナーが近代的なツールを取り上げられた時に発揮する真のクリエイティビティをよく表し、“アート”としてのグラフィックデザインの価値を実証していた。

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鈴木将弘
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