サラ・チラチ
PEOPLEText: Ilaria Ventriglia
未来は、どのようなものになるでしょうか?
『全ての人が豊かになるでしょう。もはや、飢えはありません。空は、飛行機と他の星から来た宇宙船でいっぱいになるでしょう。エイリアンと地球人が、うんざりするほどのドラマを経なくても共存できるようになります。結婚は、もはや存在しません。あるのは、愛のみです。教会は、全世界委員会から迫害されるでしょう。なぜなら、教会は再び闇を探し求めるからです。真実は「神はエイリアンで、地獄は天国よりも過ごしやすい。」というものです。とても素晴しい世界を予見しています。祈りは、役に立つから…。』
Sarah Ciracì, Osmotic Immersion, 1999, 4 slide projections on a foam rubber cube
高さに対する感覚と遠目を与えられた地球上のいくつかの生物は、形状から型やタイプを盗んできた。だから地球は、形状の代替という領域をリードしてきた、アイデンティティのあまりない物体を所有している物だということになる。これが、フランク・O・ゲーリーによるグッケンハイム、ダンテ・ビニによって建てられたミケランジェロ・アントニオーニの私邸、渡辺泰男によるペザロのスポーツセンターのケースに当てはまる。このことが、建造物を盗んで、その形状のもつ秩序に関するコンセプトへと戻すという他の世界に、それほどつながりがあるようには見えない。
誘拐のビデオは3つのおおまかなエピソードで構成されている。初めのエピソードにおける様々な展開の後、グッケンハイムは飛んで行ってしまう。まるで、宇宙船のように。2番目では、家自体が地面で回転し、そこから離れて飛んで行ってしまう。最も分かりやすい3つめのエピソードでは、スポーツセンターが消えてしまう。エイリアンの世界のメタファーは、(デュシャンによって理論付けられたような)アイディアの宝庫だ。姿態と思考がやってきたり、懐かしく戻っていったりする、高くて遠い場所。
Sarah Ciracì, Celestial Threshers, 2001, Digital print on aluminum, 120×150 cm
エイリアンはどのようなことをするのでしょうか?
『私の次の作品では、実際にどのようにして建築物を彼らのスペースで並べ直すのだろうか、そしてそれはどのような論理に基づくのだろうかということを、頑張って想像していきます。』
サラは、マルセル・デュシャンの未完の作品「大ガラス」を、ミステリアスなデザインを持ち、世界中の農場で常に膨大な数が発見され、UFOと関連づけられることの多い、クロップ・サークルへと形を変えている。
本当に宇宙から来ているのは、このアーティストなのかもしれない。『私が知る限り、宇宙から来たアーティストはデュシャンだけ。私達にアートをもたらすために地球にやってきた。そして、彼の作品は私達の直観における視野を広める展開をしたのです。』彼女はアニメーション・ビデオの中で、デュシャンとエイリアンの出合いについて話した。『デュシャンは地上に奇妙なサインを描いた宇宙船を見たという。それらが大ガラスのシンボルで、その作品が宇宙からのメッセージを隠し持っていると想像できる。この作品のために私は、マン・レイが撮影した「大ガラス」の写真を選びました。』
再びイマジネーションの集合体に繋げられることもあろうSFシーンの使用は、かつて地球規模の問題として話し合われたことを暗に示している。アイディアの領域や、物事を試み、世界に意味をもたらす合理的な秩序など、全てを高いレベルまで持ち上げるために。私達を地球上の束縛から解放するために。我々に意味を与えるため、神聖な感覚と、おそらく存在しないであろう真実を探し求めるために。
Text: Ilaria Ventriglia
Translation: Naoko Ikeno
Photos: Courtesy of Sarah Ciracì