長谷川 愛

PEOPLEText: Aya Shomura

The Extreme Environment Love Hotel, Carboniferous Room
「極限環境ラボホテル、石炭紀ルーム」2012 © Ai Hasegawa

作品「極限環境ラボホテル、石炭紀ルーム」もそうですが、私たちの認識や価値観を問う倫理的な作品を世に出す時に、特に注意していること、またはご自身に課している「クリアすべき条件」などはありますか?

この作品はイルカの作品ほど既存の価値観について攻撃的なことは提案せず、「できるだけリアリティー重視で、人の共感を得る、価値観をゆさぶるために、どのような表現、手段をとるか」を意識しました。それから「有用な議論を多くの人とするにはどうしたらいいのか、中立であるということはどういうことか?」についても考えました。

この作品で一番の収穫は「誰にでも色眼鏡(バイアス)はかかっている、科学者ですら」ということです。本当に色々なレイヤーの色眼鏡が重なっていて、一つの眼鏡に気づいても他の眼鏡に気づけないことが多い。そしてそれは他人に指摘されないとなかなか気づけない、だから議論が必要なのかもしれません。

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「シェアードベイビー」2011 © Ai Hasegawa

作品制作やそのための研究以外の時間は、どのようなことをなさっていますか?

基本、実際に手を動かす制作以外では、リサーチに時間をとります。本もネットも漫画も映画もアニメもイベントへ行くのも、旅行に行くのもレストランで美味しいご飯を食べるのも、デートですら。どこで作品のヒントになるか解らないので、ある意味全てリサーチですね。でもできるだけ新しい体験をするように心がけています。昨年は、アイスホッケー、ボルダリング、セイリング、スノーボードに手を出しました。ボストンにいる時は運動ばかりしていました。

注目している、または気になっている“課題”は何でしょうか?

いつも気になっているのは進化とか、本能(特に性欲と食欲)。本能は一体どこから来ているのか、というのは氏か育ちか、遺伝か環境か、という人間についての疑問で興味深い。そして最近は少子高齢化です、特に高齢化ですね。差別やバイアスはどこから来るのか。あと民主主義。科学技術としては遺伝子編集技術です。

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「ポップローチ」© Ai Hasegawa

最後に、今後の作品・プロジェクトについて教えて下さい。

今後のプロジェクトはとりあえず「ポップローチ」という、嫌われ物のゴキブリを合成生物学で未来の食糧、機能性食品にする、というコンセプト作品を次の段階に進めること。あと、やはりデザイナーベイビーや遺伝子治療にまつわる作品も進めていきたいです。DIYバイオの授業も受けているので、その勉強を活かせる作品も作りたいところです。

平成27年度[第19回]文化庁メディア芸術祭受賞作品展
会期:2016年2月3日(水)~14日(日)
時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)※2月9日休館
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
その他会場:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ(東京都港区六本木6-10-2 六本木ヒルズけやき坂コンプレックス内)、スーパー・デラックス(東京都港区西麻布3-1-25 B1F)、セルバンテス文化センター東京(東京都千代田区六番町2-9) ※時間、休館日は会場により異なる
入場:無料
主催:文化庁メディア芸術祭実行委員会
TEL:03-5459-4668(文化庁メディア芸術祭受賞作品展インフォメーション/9:00〜20:00)
http://festival.j-mediaarts.jp

Text: Aya Shomura

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