ニュー・シティ・アート・フェア 台北

HAPPENINGText: Tomomi Sakuma

日本のアート市場を広めていく新しい時代の幕開け 

アッシュ・ペー・フランス主催の「NEW CITY ART FAIR」(ニュー・シティ・アート・フェア)が台北にある華山1914クリエイティブパークで開催された。華山1914クリエイティブパークは元々酒造工場だったが芸術文学界の人々の支持を得て芸術文化空間としてどんどん発展しいき、今は台北を代表するアートスペースになっている。

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このアートフェアは、ニューヨークで今年の3月にフェア行っており、今回は台北に日本から12のギャラリーが集まった。ニューヨークで行われたフェアと異なる所は「roomsLINK」というファションの展示会を合同展開し、「roomsLINK TAIPEI」会場内のアートエリアとして開催されていることだ。インテリア、ファッション、プロダクト、アートを融合した台北初のイベントとなる。同時期に開催されていた、アジアで最も歴史のあるアートフェアであるアート台北にあわせての開催となり、アート台北の会場から無料で市内のアートスポットを回れるバスが止まる場所にもなっている。

今回出展したギャラリー/ブースを紹介する。

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アジアン・アート・オークション・アライアンス

香港をベースにしているオークション会社「アジアン・アート・オークション・アライアンス」では草間弥生、奈良美智、藤田嗣治、石田徹也などの作品が展示しており、31歳の若さで夭折した石田徹也の作品の前では同世代の若者たちがシンパシーを感じるのか、足をとめ作品をじっと鑑賞している姿が印象的だった。

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宮澤男爵 東京画廊+BTAP

「消息」とは、微細な鉛筆のドローイングを出発点に水彩、油彩へと展開しつつも、つねにその根底にただよう宮澤男爵の世界観。写真は宮澤最新の油彩作品。今にも消え入りそうな雰囲気に引き込まれた。東京画廊+BTAPのブースには、古林希望のやわらかいドローング、北浦凡子の艶やかな写真、そして2010年に開催された台北での個展以来、台湾では大人気の西澤千晴の作品が飾られていた。

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須藤絢乃 ピクチャー・フォト・スペース

ピクチャー・フォト・スペースでは須藤絢乃の赤ずきんの写真がすぐ目に飛び込んできた。須藤自ら赤ずきんに扮した写真だ。その隣にはニューヨークのアートディーラーの夫婦の写真、作家自身がディーラーの奥さんに扮して撮影している。男の子が女の子に扮したり、作家自身が男の子に扮したり、彼女の美的感覚を作品の中から感じる。

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沖冲 モグラグ・ガレージ

モグラグ・ガレージからは2010年SHIFTカレンダーに採用されたナヌーク2012年SHIFTカレンダーに採用された伊波英里など多彩なイラストレーターの作品が展示されていた。青参道アートフェアにも参加したことのある郡司侑祐の作品は、ファンシーな世界観をみせてくれる、一方で沖冲の「Pure」という作品は、一瞬、どろどろと死を彷彿させるが、しばらくみているとその中に、希望の光が感じられ、作品のイメージが明るい方向へ引っ張られていく。

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植松琢麿 Yumiko Chiba Associates

会場入り口ではシムラユウスケがライブペインティングで来場者を楽しませ、立体や写真など、メディアを問わず作品を発表している植松琢麿が所属するユミコ・チバ・アソシエイツでは、動物や花といった素材を用いて作られたシリーズ「ceremony」が紹介されていた。彼の作品からは常に、自然と科学の関連性を見る事ができる。「ceremony」をみていると生き物の融合を感じ、時間や空間を超えた生命のあり方を探る旅にでている世界に浸ることができる。

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Jinbocho Modern Contents

神保町モダン・コンテンツは東京神保町にある古本屋ボヘミアンズ・ギルド永森書店、そしてギャラリー小暮が連名で出展しており、アンティークポストカードから田名網敬一のポスターまで、来場者が手に取って、作品を楽しんでいた。

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ナオ氏 Emigre Collection

台湾のアート雑誌「dpi Magazine」に掲載された砂絵アーティスト、ナオ氏の作品を置くEmigre Collection。ナオ氏の作品は、身近な目の前にあるものをモチーフにして、そのモチーフの視点からみている世界が広がっている。作家本人が楽しんで作っていることを感じさせ、見るものも楽しくさせるパワーがある。

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COEXIST-TOKYO/EARTH+GALLERY

現代美術の展示スペースとアートに関わるイベントを行っているCOEXIST-TOKYO/EARTH+GALLERY。生態系アーティストと呼ばれるKOHEIの正方形の炭をしきつめた作品は光による反射によって、炭の黒の色合いが変わる。一言に炭といっても、一色の黒でもないし、質感も全く違う。まるでそれは人間の個性を見ているようだった。

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宮城勝規 Ohshima Fine Art

日常に溶け込んで楽しめるような作品も多い Ohshima Fine Art。宮城勝規の描く子供は耳がはえたり、つのがはえている。人間のようで、人間ではない子供たち。それをみていると、子供の頃に戻ったような気持ちになり、また幸せな気分にさせてくれる力があった。

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Rich hpgrp GALLERY TOKYO

hpgrp GALLERY TOKYO。一見一枚の写真にみえるが、写真をコラージュして撮影している進藤環。今回のメインビジュアルを担当したRichの台湾のスクーターシリーズや幻想的な世界を表現している動物のシリーズが展示されていた。Richの動物のシリーズはまるで映画のワンシーンのように美しく、光の中に吸い込まれていくようだった。

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中田博士 ギャラリー点

金沢から出展のギャラリー点のセクションに行くと、目の前に白い焼き物が目に入る。中田博士の真珠光彩瓶。並べられた焼き物は一瞬タワーのような建物物を彷彿させる。どの場所においても、作品としての存在感がある。

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クラークギャラリー+SHIFT

唯一北海道からの参加となるクラークギャラリー+SHIFTに飾られている澁谷俊彦の作品は白い紙の上に蝶が舞う作品で、蝶の裏面についた色が、光の向きと加減によって、紙に反射し、映る色あいが変化する。その作品をみていると、北海道にしんしんとふる雪の上を、月光に照らされた蝶が舞っているところが目に浮かび、雪のささやき音が聞こえてくる。鑑賞していると心に静けさや穏やかさを与えてくれた。

『第二回目となる NEW CITY ART FAIR は来場者35000人に上り、台北初のクリエイティブイベントとして大きな話題をよびました。日本各地から12のギャラリーの多彩な作品が集まり、日本のアートの幅の広さを実感しました。また、ファッションやデザインとの合同開催により、普段アートに接しない方々にもアピールすることで、若い世代のコレクター育成への可能性も感じられるフェアとなりました。今後は2013年3月にニューヨーク、4月に大阪で開催されます。日本の現代アートを多くの人に紹介するためにNEWCITY ART FAIRは世界の様々な都市で展開していきます。』とフェアディレクターの戸塚憲太郎氏は語ってくれた。

今までの欧米型のアート市場ではなく、日本人独自の価値観でアート市場を開拓し、日本人のアーティストが世界で活躍出来る場所を作りたいという戸塚氏のコンセプトのもと開かれたこのNEW CITY ART FAIR。海外で開かれることによって国際的な結びつきを強め、さらに日本のアート市場を広めていく新しい時代の幕開けを感じる。

NEW CITY ART FAIR TAIPEI 2012
会期:2012年11月8日〜11日
会場:華山1914創意文化園区(台湾台北市中正区八徳路)
フェアディレクター:戸塚憲太郎(hpgrp GALLERY TOKYO)
主催:アッシュ・ペー・フランス株式会社
http://www.newcityartfair.com

Text: Tomomi Sakuma
Photos: Tomomi Sakuma

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