アート台北 2012
HAPPENINGText: Tomomi Sakuma
アジアでもっとも長い歴史をもち今年で19回目を迎えるアート台北が高層ビル「台北101」の隣にある台北世界貿易センターで行われ、約150ギャラリーがこのアートフェアに参加。半数以上がアジアパシフィックから、他にヨーロッパ、アメリカのギャラリーそしてレバノンとロシアのギャラリーが初参加となった。日本からは23のギャラリーが参加した。
このアートフェアでは無料のアートバスが走っており同時開催されていたアッシュ・ペー・フランス主催の「NEW CITY ART FAIR」開催地、華山1914クリエイティブパークにもバスが止まり、台北でのアートを満喫することが可能だ。
ティンティン・ツィン「Involuntary Reader」
これから活躍するアーティストを紹介するセクションではティンティン・ツィンの作品がひときわ目立っていた。彼女の作品は、ロンドンの地下鉄で配られる無料の新聞を横から撮影している。昔は情報を得るために新聞を売店で買っている人が多かったが、地下鉄で配られる無料新聞のように現在は向こうからランダムに情報がやってくる。
無料の新聞が読まれては、電車に残され、次の人の手に次々渡っていくのを目にした彼女は「どのように情報が流れていき、私たちが世界をみるのにどのように影響を与えているのか?」という疑問から、自ら情報を得る事をやめ、自分の手元にやってきた無料新聞のみで100日間生活する。写真はそのときに得た新聞だ。あえて新聞の文字や写真の情報を見せずに横から撮影されていることが、情報過多、氾濫に対する矛盾、私たちの世界や社会がメディアによってコントロールされていることに疑問を投げかけているようで、興味深い。これからの彼女の作品にも期待が高まる。
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