コッド・アクト
PEOPLEText: Aya Shomura
音楽家と建築家のバックグラウンドを持つ兄弟アンドレ、ミシェル・デコステールのユニット「Cod.Act」(コッド・アクト)をご存知だろうか。第14回、第16回文化庁メディア芸術祭で二度の大賞を受賞した彼らが、このたび第18回では「Nyloïd」でアート部門優秀賞を受賞した。スイス出身の二人のバックグラウンドについて聞いた。
Cod.Actについて教えて下さい。
Cod.Actはレーベルで、アンドレとミシェル・デコステールは、それぞれのノウハウを融合しています。前者は音楽家、作曲家そしてサウンド・プラスティシャンであり、後者は建築家でありプラスティシャンでもあるのです。パフォーマンスやインタラクティブ・インスタレーションなど、芸術的なプロダクションを共同展開しています。
以前2度この賞を受賞していますが、今回どのように感じましたか?
日本人が私たちの作品を評価することに、とても自信と誇りを感じています。なぜなら彼らのクリエイティビティ―と芸術的な言語に魅了されているからです。互恵の精神ですね。
「Nyloïd」について教えてもらえますか?
「Nyloïd」は印象的な音響彫刻です。それは高性能機械と音響装置によって動く長さ6メートルの3本のナイロン製の脚によって構成される巨大な三脚です。官能的、動物的そして脅迫的なこのモバイルはプラスティックや音源の反応から、多様な機械的な強制へと、ドラマティックな力を描いています。生きているものと同様に、ねじれや音の現れによる緊張、努力そして恐れが感じられます。
何故そしていつお二人は一緒に制作しようと決めたのでしょうか?
私たちは、いつも制作活動の中で多くの共謀を持っています。音楽と構築の中で。私たちはそれぞれの鍛錬の中で同じ感情、同じテイスト、そして同じアプローチを持っているのです。Cod.Actは私たちが17歳の時から存在しているのです。
あなた方のコンセプトもしくは、哲学について述べてください。
私たちは複雑な装置、それは工業的な宇宙を喚起させる細かい機能性を作り出します。私たちのアプローチの根底には、音響や動きそして可能な限りの相互作用があるのです。私たちは科学から多くインスパイアされ、そしてアイディアは、しばしば自然物理現象の観察から起こります。私たちはそのメカニズムを理解しようとし、要素を抜き取ろうとしています。そしてそれが人間的な規模で変化していくことを楽しみ、そして公共の事象の形態に適応するのです。私たちのインスタレーションは、いつも動きと音に関連します。年々さらに私たちは、それらとの関係、それらとの最高の融合を手に入れるためのハーモニーを向上させようとしています。
作品づくりの過程で大事なポイントについて教えてください。
私たちは実験に多くの重きを置いています。問題とは対照的に、私たちはアトリエ内で研究するために捧げた時間の多くを過ごしています。物質的で本質的なものをみつけるとき、物質的、機械的もしくは音響はどうであれ、いつも必要な知識、それはこの物質の最高の全てのパラメーターを抜き取らせ、ついには最初の作用や本性から歪めさせるのです。
制作するときインスピレーションはどのように得ますか?
私たちは決して素晴らしいアイディア、強いコンセプトを持っている訳ではありません。アイディアとインスピレーションはスタジオでの持続的な作業の繰り返しから生まれてくるのです。ステップ・バイ・ステップの経験の進化から。私たちは同時に研究者でありエンジニアであり技術者でもあるのです。
プライベートな時間は何をしていますか?
冬はスキーで、夏は登山です。
次の作品の計画もしくはイメージはありますか?
特には。また可能性の話でしかありませんが、現在、ラーセン・タービンを用いて制作しています。
第18回文化庁メディア芸術祭受賞作品展
会期:2015年2月4日(水)~15日(日)[*2月10日(火)休館]
時間:10:00~18:00 ※金曜日は20:00まで、入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館、シネマート六本木、スーパー・デラックス他
※開館時間、休館日は会場によって異なります。
入場無料
主催:文化庁メディア芸術祭実行委員会
TEL:03-3535-3501
https://j-mediaarts.jp
Text: Aya Shomura
Translation: Moeko Noguchi