TOKYO FRONTLINE 2012
HAPPENINGText: Yu Miyakoshi
「同時代のアートの力」を増幅させることをミッションとするアートフェア「TOKYO FRONTLINE」(トーキョー・フロントライン)。2年目を迎える今年も 3331 Arts Chiyoda(アーツ千代田3331)を舞台に g3/(トリプルジー)や Gallery HAM などのアートギャラリーのほか、B GALLERY + TOKYO CULTUART by BEAMS や hpgrp GALLERY TOKYO といったファッション業界発のギャラリーや、伊勢丹新宿店、三越日本橋本店、銀座三越のショーウィンドウをサテライトに開催された「KISS THE HEART」など、様々な分野からの参加者を迎え開催された。
今回のポスターに使用され、マネキンのような女の子の写真が印象的なのはMEMの林ナツミ。浮遊する少女のセルフポートレート写真は昨年「よわよわカメラウーマン日記」というホームページに公開され、国内外で話題になった。
「Today’s Levitation 02/11/2011」 Natsumi Hayashi, Courtesy of MEM
ツイッターやフェイスブックでブレイクという、一過性の拡散方法でありながら、写真には癒されるような、飽きさせない魅力がある。林氏は現在、アーティストのアシスタントをしながら、ホームページを更新。目下の目標は「浮遊シリーズ」をコンプリートするということだそうだが、この先もどんな瞬間を見せてくれるのか、楽しみ。
「メタ・モルフォス – Meta.Morphos」 Maki Toshima, Courtesy of MEM
同じMEMから紹介されていた戸島麻貴の「メタ・モルフォス」も、ストレートに美しさを表現していて印象的だった。標本箱の中に閉じ込められた蝶が動きだし、羽を閉じたり開いたりを繰り返していたかと思うと、やがて大きく羽ばたき、箱の外へと飛び去ってしまう。戸島氏はこの作品で、美しいものを様々なメディアによって留め置きたいという人間の願望と、テクノロジーより尚、拡張し続けるイマジネーションの自由さを、標本箱と架空の蝶になぞらえて表現したという。こうしたトリックのメディアアートは今までにもあったように思うが、戸島氏の作品には、新鮮な驚きを覚える。想像の世界が現前した世界観には、手技というよりも一種のマジックが働いているような気がする。
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