オープン・ハウス 2011

HAPPENINGText: Fann ZJ

テン・イェン・リンの「秘密の着陸」は、階段の踊り場に隠された新次元を表現している。自転車やエレベーターや椅子といった日常的なものに新たな見方が加えられていて、コンクリートの床面と真っ白な壁面に黒いテープを貼って異なる表面の透視図を作りだしている。

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オープン・ハウス2011は、メッシー・メスキーやジョン・ロウを含む12名の公式アーティストとともに開催されており、芸術作品と住人の所有物を一緒に展示するという手法で、来場者に問いかけている。会場を歩いて行くうちに、考えずにはいられなくなる。「芸術とは何だ?」「その価値は何だ?」と。

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アートというものを絵画のような媒体を通じて感じることもできるが、オープン・ハウスではインスタレーションという形で魅せてくれる。最後の住宅に展示されているのは、クレア・マリー・ライアンとマーク・ガブリエル・ローによるインスタレーションで、リビングルームを覗き込む仕組みになっていて面白い。芸能人が電話していたり、タイプライターを打ち込んでいるのを見ていると、時間の経過や時空を感じる。ただひとつそこに足りないのは、音楽だ。

オープン・ハウス2009では、近隣の私有地で作品が展示されたが、今年はより広範囲の住宅街での開催となった。それは、シンガポールの中心地で生活が続いていくことを意味する。様々なニーズが文化や表現に出会うことで、現代的な住宅街の一角から豊かな創造性が生まれてくる。

次回のオープン・ハウスが待ち遠しくて、近所の扉を叩くのだ。

Open House 2011 – I love Marine Parade
会期:2011年1月8日・9日、15日・16日
会場:マリーン・パレードの住宅街
https://www.ohopenhouse.com

Text: Fann ZJ
Translation: Yuki Nakagawa
Photos: Fann ZJ

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