ヒドゥン・アート・オープン・スタジオ 2003

PLACEText: Sari Uchida

11月22日・23日、29日・30日の週末に開催された「ヒドゥン・アート・オープン・スタジオ(Hidden Art Open Studio、略してHAOS)」は、その名の通り、「隠れたアート」つまり無名(有名な人も参加しているが)アーティストを世に紹介し、中小企業との接触を持つ機会を与えるイベントである。期間中、北はストーク・ニューイングトンから、南はテムズ川上岸、東はマイル・エンドまで、イースト・ロンドンと呼ばれるエリアに点在するアーティストのワークショップやスタジオが公開される。


Igotfelt!: Strawberry Cushion, Felt cushion cover on denim backing. Price: £45

イースト・ロンドンのハックニー地区は他の地区より地域開発が遅れたため、土地の安さに目をつけたアーティストが次々移り住み、クリエイティブなエネルギーに溢れる場所として発展して来た。HAOSは最初こそハックニー在住アーティスト43人に日の目を当てる目的でスタートした小さなものであったが10年目を迎える今年は160人以上が51個所で展開するほどに成長した。

乾いた秋空の下、全開催場所が明記された折り畳みの地図(無料配付情報誌「タイムアウト」に折込みされる)を片手に、みたいアーティストがいるところへと足を運ぶ楽しさも人気の原因の一つだ。アーティストの普段の作業場や、パビリオン内のブースで商品を展示する。一般人がデザイナーと直接交渉して彼等から作品を直接購入したり、制作のコミッションを依頼したり、一味違うクリスマス・プレゼントをみつける格好の機会でもある。アーティスト同士がネットワークを広げることも可能である。

地区限定で資金が配給されている関係から、このイベントに参加するためにはイースト・ロンドンに在住もしくは勤務していることが大前提である。そしてあくまでも、テキスタイル、セラミック、家具などの「機能性」を持つ作品の制作に携わっていること。


Ayumi Suzuki: Room Socks: Ayumi Suzuki, Hand knitted slippers, Price: £20, Photo: A Suzuki.

初日前夜、マイル・エンド公園で行われたHAOSを観て来た。そこで展示を行っていたアーティストの一例をあげると、毛糸の室内履きとスタンダップ・カラーのジャケットを展示していた、スズキ・アユミ。配色の妙で人目を引いていた。


Louise Kingsbury bags: square vintage bags £45, scarf bags £35

独自のルートで入手したビンテージの生地でバッグを作るのは、ルイーズ・キングスベリー。豊富な種類の中からお好みをみつけよう。


Yoyo Ceramics: Is that Plastic (stacked), £12.50-40, Photo: Russell Watkins

普段はプラスチック製のものとして見慣れているタッパーウェアの容器を、形はそのままに陶器で作ったのがヨー・ヨー・セラミックス。みた目の印象を質感が裏切る面白さが人気を集めていた。


Helen Rawlinson: Sunset Strip Lamps, red and coffee, height 45cm, £66 each, Photo: Stephen Brayne

その他、照明デザイナーのヘレン・ローリンズ、フェルトを使って自然素材をモチーフにバッグ等アクセサリーを作る「アイ・ゴット・フェルト」など、素朴でかわいらしく、しかも実用性が高い作品が集まっていた。

HAOSは、マゾルカ・プロジェクト・リミテッドは、クリエイティブ事業の長期的な成長を支援する非営利団体が主催している。彼等は民間及び公共部門からの資金及び物資面での援助を受けてこのイベントの実現を果たしている。

Hidden Art Open Studio 2003
会期:2003年11月22日・23日、29日・30日
会場:イースト・ロンドン エリア
TEL:+44 (0)20 7729 3800
info@mazorcaprojects.com
https://www.hiddenart.com

Text: Sari Uchida
Photos: Courtesy of Hidden Art Open Studio © the artists

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