森美術館プレオープン企画「オープン・マインド」
HAPPENINGText: Jo Kazuhiro
2003年10月に開館する森美術館。そのプレオープン企画であるCD「オープン・マインド」のリリース記念として、ライブイベントが12月21日に六本木ヒルズ・シンクゾーンにて行われた。
今回リリースされたCD「オープン・マインド」は、日本の若手クリエーターたちによって生み出されたサウンドやノイズ・ミュージック、メディア・アートの最新の傾向を紹介するものであり、渋谷慶一郎、稲田光造、秋田昌美(メルツバウ)、青木孝允、Miroque、ポータブル・コミュニティ、NUMB、池田亮司によるサウンド作品と AGE 5&UP、クワクボリョウタ、エキソニモ、ポータブル・コミュニティによるソフトウェア作品が収録されている。
今回のライブでは、池田亮司を除くサウンド作品提供者全員に加え、ソフトウェア作品への参加者であるエキソニモとクワクボリョウタ、さらにスペシャルゲストとして「L?K?O」という豪華な顔ぶれによるパフォーマンスを体験する事ができた。
Right) exonemo
まずはじめは、エキソニモ。普段はネット・アートを中心とした活動を繰り広げている彼ら、今回は掛川康典とククナッケをゲストに迎え、オリジナルソフトを交えたラップトップ+映像+エレキベースによるパフォーマンスを聞かせてくれた。普段のブラウザ上での作品とは一味違った体験ができ、今後の展開が楽しみだ。また、CDへの収録作品である「FragMental Storm 02」は、ユーザの入力したキーワードを元にネット中から素材をカットアップする、というもので単純なキーワードから思いもよらないイメージが生成されていく驚きを味わう事ができた。
Portable[k]ommunity
つづいてのポータブル・コミュニティ、CDにソフトウェア作品も収録している彼等。今回は普段の音と映像に加え、鼓膜を直撃する音によるパフォーマンスを行っていた。アナログオシレータのスイープ音を元に構成されたこのパフォーマンスでは、鼓膜に対する警告のあと音がスピーカシステムから発せられ、驚きを持ちつつも楽しそうに聞く人、耳をふさいで耐えている人、耐え切れずに外に出て行く人、と普段の音楽イベントでは見ることのできない光景を目の当たりにすることができた。賛否の分かれる部分かもしれないが、通常さほど意識する事のない身体を強く印象付けるこの作品、個人的には大きな意味を持っているように思える。
Left) Ryota Kuwakubo, Right) Miroque
デバイスアーティストとしても知られるクワクボリョウタは、音を操作する様々なブロックを画面上に配置しく自作のソフトウェアを使って演奏を行っていた。画面のコントラストがやや弱かったのが残念ではあったが、ソフト内のオブジェクトの動きと発せられる音とがしっかりと対応しており、聴覚と視覚の双方を互いに確認しあいながらパフォーマンスを楽しむ事ができた。このソフトウェアはまだ開発途中とのことだが完成の暁には是非公開して欲しい。また、彼のCD収録ソフトウェアである「NewsWatch」は、ウェブ上のニュースサイトのテキストをその構造をはぐらかしながら表示しており、なんとなく分かるようなわからない、微妙な感触のものとなっている。
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