シンガポール・ビエンナーレ 2011

HAPPENINGText: Fann ZJ

歓迎ムードの中、満を持して第3回シンガポール・ビエンナーレが開催される。2006年には地元アートシーンの信頼を獲得し、2008年には問題提起と考察の精神を広めたシンガポール・ビエンナーレ。今年度のタイトルは「オープン・ハウス」と銘打たれた。イベントの確固とした価値観と視点に基づき、地球規模の不安定さを伴いながらも、世界相互連携・依存の時代にその幕を開ける。

30カ国以上から60を超えるアーティストを迎える今年度のシンガポール・ビエンナーレは、世界トップクラスの作品のための舞台だ。シンガポール内に点在する4会場では70を越える作品が展示される。

今年のシンガポール・ビエンナーレの開催地としてマリーナ・ベイがある。日本人アーティストの西野達によるインスタレーション、「マーライオン・ホテル」は、シンガポールを象徴する、上半身がライオンで下半身が魚の像を取り囲んで建てられた期間限定のホテルだ。

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部屋の壁はスタンフォード・ラフレス卿(シンガポールにおける植民地創設者)の姿をあしらったピンクの壁紙で覆われている。バスルームとベッドルームから100万ドルの夜景を楽しむことができるこの部屋の予約は、受付開始からわずか数時間で埋まってしまった。予約を入れた人々は皆、シンガポールを象徴するマーライオンを間近に見ようと競い合ったわけだが、おそらく、その先頭はホテルでの一夜を勝ち取った一組のカップルであろう。この二人は何年も前にマーライオンの前で結婚の約束をした。ここは人々にとって特別な思い入れのある場所なのだ。

シンガポール国立美術館の別館、実験的な現代アート作品を扱う「8Q」では、マルチメディア作品を数多く展示している。地元フィルムメーカー、タン・ピンピンによるショートフィルムプレミアもそのひとつだ。地元に対する自身の視点を通じて作品を制作するタン・ピンピンは 「ザ・インポッシビリティ・オブ・ノウイング」の中で、空間的なつながりの記録を映し出す。

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