アート・ステージ・シンガポール 2011

HAPPENINGText: Alicia Tan

シンガポールのアート業界が枯れたとは誰が言っただろうか。アート・ステージ・シンガポール(以下アート・ステージ)は、アート・バーゼルや世界に名だたるアートフェアへアジアが出した答えであり、2011年最初の大規模な国際的アートイベントとしてアート業界を魅了した。アート・ステージは、マリーナ・ベイ・サンドのザ・サンド・エクスポ・アンド・コンベンションにて1月13日〜16日に開催。開催の前後に実験的なイベントも行われ、シンガポールのあらゆる場所に現代アート作品が展示された。SHIFTを含むメディアは1月12日の内覧会に招待された。

Art Stage Singapore 2011

馴染みのものから新しいものまで、世界から120以上のギャラリーがブースを構える会場を巡り歩く。同じ割合ほど出展された東洋と西洋のギャラリー、そしてアジアの新人アーティストを世界のアート業界に紹介するプロジェクト・ステージという特別企画を巡回した。

リン・アンド・リン(台北、北京)、Boers-Li ギャラリー(北京)、エドワール・マラング・ギャラリー(香港)など中国、香港、そして台湾のギャラリーからの出展が目立つ。日本からは小山登美夫ギャラリーナンヅカ・アンダーグラウンド 、ワダファインアーツなどが出展。他にもクラメール・コンテンポラリー(ジュネーヴ)、デ・サルト・ファインアアート(パラダイス・ヴァレー、香港)、ギャラリー・エマニュエル・ペロタン (パリ)などがみられた。

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Lorenzo Rudolf, Fair Director

フェア・ディレクターのロレンゾ・ルドルフは、アート業界においてアジアはまだ不完全であり、アート・ステージは興味深く魅了する全てのアートを繋ぐ場だと語る。強調されるのはアジアと西洋のマーケットを近づける事と、アート・ステージの目標である既存するアジアのアートフェアと競うのでは無く、更なる可能性を発掘する事だ。

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Singapore Platform: Remaking Art in the Everyday booth

そんなアジアのアートと市場を応援するアートフェアに、シンガポールのアーティストを紹介するプラットフォームがある事は驚きではない。シンガポール経済開発庁 (EDB) 特別事業のディレクターを務めるユージーン・タンが企画を担当したシンガポール・プラットフォームでは、シンガポール人アーティスト8名が紹介された。それぞれが「市場を築き上げている」アーティスト。ブースではシンガポールのアートを世界に知ってもらう為に多様な作品が展示される。

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Huang Tung-Lu, “Android”

更に著しいギャラリーとしては、台北と上海に拠点を置くリン・アンド・リン・ギャラリー。ブースでひときわ目を引いたのは、ホアン・トゥンルによるサイケデリックな3Dビデオと静止作品。来場者は暗い部屋へ誘導され、貸し出される3Dメガネを通して作品を眺める。

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Liu Zhuoquan, “The World of Thousands”

もう一つ異彩を放っていたのは、古い中国の鼻煙壷を精密で今も壊れそうな様子で展示した、パープルルーフ・アート・ギャラリーのリュウ・ジュオクァンによる作品「ザ・ワールド・オブ・サウザンズ」。現代の消費社会に対するメッセージを持つ。作品の独特で一つ一つ異なる鼻煙壷を人々はじっくりと観察していた。

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Fost Gallery

また、シンガポール発のフォスト・ギャラリーもシンガポールのアート業界を明確に映し出していた。展示された3名の若手シンガポール人アーティストによる作品は、建築作品とミックスメディア作品のほど良い混合だ。

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Takashi Kuriyabashi, “Wald aus Wald”

会場では作品と触れ合い交流する事もできた。ギャラリー・タグボードの栗林隆によるインスタレーション作品、「Wald aus Wald」は紙で出来た森。森の床には穴が明けられ、そこから森が観察できる様になっているインスタレーションだ。

アートフェアには村上隆や写真家デビッド・ラシャペルなど多くのアーティストが訪れ、ラシャベルは15日から彼の人生と作品について講演を行った。無料の席には2時間前から並ぶ熱心なファンの姿がみられ席は満員になった。

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Art Stage Singapore hall

アート・ステージは評論家や来場者から賞賛された一方、ある展示は保守的なシンガポール人の観衆から激しい非難を受けるなど、困難もあった。成長するシンガポールのアート業界にも、まだ長い道のりが残されているという現実を再度確認するものともなった。

アートフェアの催しの一つ、「コレクターズ・ステージ:アジアン・アート・フロム・プライベート・コレクション」では、奈良美智(日本)、アイ・ウェイウェイ(中国)、シルパ・グプタ(インド)などの作品が紹介され、シンガポール美術館にて1月14日から2月17日の期間開催される。

Art Stage Singapore 2011
会期:2011年1月12日〜16日
会場:Marina Bay Sands
住所:Basement 2, Hall D, E & F 10 Bayfront Avenue, Singapore 018956
TEL:+65 6688 8868 (Marina Bay Sands)
http://www.artstagesingapore.com

Collector’s Stage: Asian Contemporary Art from Private Collections
会期:2011年1月14日〜2月17日
会場:Singapore Art Museum
住所:71 Bras Basah Road, Singapore 189555
TEL:+65 63323222
http://www.singaporeartmuseum.sg

Text: Alicia Tan
Translation: Meiko Maruyama
Photos: Alicia Tan

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