シンガポール・アート・ウィーク 2014
シンガポールが西洋化、現代化されるにつれ、しばしばその豊かさにある前後関係や、それを取り巻く美しさ、そしてシンガポールや近しい国々のアジアらしさといったものを忘れがちである。アジアの中でも特に東南アジアに焦点を当てた、豊かさをこの一つの都市の中で見せる今年のシンガポール・アート・ウィークは、7日間で70を超えるアート関連のイベントがこの島全域で催された。この富と多様性を改めて評価することができるここまでの機会はこれまでにはなかっただろう。
© Nobuhiro Nakanishi
取りを飾るのは、130ものギャラリーから600を超えるアーティストの作品がお披露目されるアートステージ・シンガポール。今年のアートステージは、各ブースを通して作品範囲の幅と広がりで知られるアジア諸国にスポットをあて、オーストラリア、中央アジア、中国、インド、日本、韓国、台湾そして東南アジアなど各地から出展したギャラリーが、戦略的に配置された専用ブースでまさに “アジア” を展開した。
インスタレーションから、ペイント、彫刻まで様々なメディアをミックスした作品は、各地域の特色を見せてくれた。例えば日本のブースでは、薄板を集合的に重ねて東京の夕暮れを表現した中西信洋の「レイヤー・ドローイング – サンライズ2007」が日本の景観の美しさを示し、宮島達男の「ライフ(コルサ・オルガーヌ)No.19」は点滅とクリック音を通してテクノロジーへの執念を見せつけた。短い数時間で、アートステージは4万人を超えるビジターを惹きつけた。
© Tatsuo Miyajima
4度目の開催となるシンガポール・ビエンナーレは13の国域から集めた82人のアーティストと新鮮なキュレーションで我々が暮らす世界と我々が創りたい国を思わせる展示を展開。「イフ・ザ・ワールド・チェンジ(もしも世界が変わったなら)」というテーマで、観客が実際に国を移動することなしに、スリムに凝縮され、より身近に無数の壮観な東南アジアの経験や考えに触れることができるシンガポール・ビエンナーレを見せてくれた。
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