新納英仁展

HAPPENINGText: Yurie Hatano

SHIFTのカバー・インタビューに連動し、同月札幌SOSOでは1ヶ月間に渡る「HIDEHITO SHINNOU EXHIBITION」が展開された。前月のカラフルでビビッドな「HUMANS BY MIKE MILLS」展からまた一転、この度はシンプルで開けたレイアウトのSOSOに、パステルピンクやライトブルーのポップで楽しい仲間達が登場する。

愛知県出身の若きグラフィックアーティスト新納英仁。地元名古屋の学校でデザインを学び、現在は働きながらイラストの活動をしている彼は、2006年度SHIFTカレンダーコンペティションで入選を果たした。あなたがもしSHIFT2006カレンダーを活用しているとしたら、ちょうど2月を飾っていたグラフィックは彼の作品だ。SHIFT2006カレンダー展覧会を含めると、新納英仁の作品がSOSOを飾るのは2度目のこと。個展としてはこれが札幌初の開催となる。

2月11日の土曜日、街では、さっぽろ雪まつりがクライマックスを迎える頃、本人を迎えてのライブパフォーマンスイベントが行われた。オリジナルのキュートな大判ポスターやTシャツがSOSOに現れ、それら作品のキャラクターが登場するSHIFTカバーのアニメーションが愉快に流れることすでに10日余り。この後中央の大きな白い壁でどのようなパフォーマンスが行われるのかは誰も予想できず、前月号のインタビューでも『その時描いたものにリアクションをとりながら』と、即興性が仄めかされている。キャラクターペインティング?オリジナルモチーフを使ったコラージュ?みんなのワクワクを背負ってスタートした。

新納氏がまっ白な壁の前で取り出したのは、黒一色の油性ペンだった。客が注目する中しばらく壁と向き合っていたかと思うと、突然中央にモクモクと線が浮かび上がる。『線に強い意識を持つようになった』という彼のスタイルが、細い線、太い線、曲線、直線、ドット、それぞれの微妙なニュアンスを介して手描きの黒一色で展開されていった。

早いっ。まず何よりもみんなが驚いたのはそこではないだろうか。油性ペンでこのおよそ縦2.5×横4mのスペースを埋め尽くすまでには、相当な時間がかかるに違いないと思っていたが、結論からいうとそれはなんと2時間で達成されてしまった。中央からスタートしたドローイングは、連鎖反応のように次々と様々なモチーフを加え、さくさくぐんぐんと仕上げられていった。

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