新納英仁展

HAPPENINGText: Yurie Hatano

「フィニッシュ!」という吹き出しを最後に、休みなく動き続けていた新納英仁の手はそこで止まり、客席から暖かい拍手が湧いた。まだまだ時間が許すならば、この後も果てしなく彼の頭の中が壁に現れ続けていただろうという勢いだったが、すでに真っ白の壁は陽気な黒で埋め尽くされている。

聞けば、描かれたモチーフの数々は、ほとんどがその日に新納氏が見たもの、感じたこと、触れた話題などがそのまま現れたものだった。札幌の街並に感じたことから、お昼に寄ったラーメンやさんでの出来事までが、話を聞く程に具体的に記されていることがわかり、まるで日記のよう。こんなに快活な日記を描くことができたら、嫌なことがあった日々もハッピーに昇華できるだろう。

ドローイング後も油性ペンを持ったまま、手帳にTシャツにとみんなの要求に応えてデザインを施す新納氏。会場にいたみんなは、2つとないオリジナルデザインを大事に持ち帰る。

『楽しいか否か』という新納英仁のデザインに対するこだわりが、ここに見えた。感じるままにのびのびと、自由なスタイルから生まれるポップな線、形。そして本人のまだまだこれから出会い、取り入れ、挑戦しようという、それでいて良い感じに力の抜けた姿勢。これからのますますの活躍と、可能性を秘めた新納ワールドに目が離せない。

HIDEHITO SHINNOU EXHIBITION
会期:2006年2月1日(水)〜28日(火)
開場:11:00〜21:00
会場:SOSO
住所:札幌市中央区南1西13三誠ビル1F
TEL:011-280-2240
協賛:BEAMS T, PRINT’EM, Pioneer
https://www.shinno.info

Text: Yurie Hatano
Photos: Sharima

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