アユミミツカネ「ボウシ」展
HAPPENINGText: Aya Shomura
レディース・ブランド「ayumi.mitsukane」(アユミ ミツカネ)のファッションデザイナー、光金鮎美による、初の個展「ボウシ」展が札幌のクラークギャラリー+SHIFTにて開催中だ。展覧会名がなぜ「帽子」ではなく「ボウシ」展なのかは、会場に展示されているボウシを被ってみるとよく分かる。
“BOUSHI” Exhibition, Clark Gallery+SHIFT, Sapporo, 2015
階段を上がりきった時にまず感じるのは「帽子はどこ?」かもしれない。それほど、私たちが想像し、普段身につけている一般的な「帽子は頭に被るもの」という概念とは全く異なるのだ。日本語では「帽子を被る」だが、英語では「wear a hat」=「ボウシをまとう」と表現する。まさにその英語の感覚に近い彼女の色鮮やかなボウシは、頭だけではなく、その他の身体部位を覆い浸食するかのように拡張し、跳躍感に溢れている。
“BOUSHI” Exhibition, Clark Gallery+SHIFT, Sapporo, 2015
ブランドコンセプトに「コンテンポラリーアートへの投げかけ」を掲げる彼女らしい、とても挑戦的かつ挑発的なボウシの数々は、実は音符を表現している。
“BOUSHI” Exhibition, Clark Gallery+SHIFT, Sapporo, 2015
本展のコンセプトについて「私たちは音楽だけではなく、生活のリズム、言葉のリズム、空間のリズム、視覚のリズム、沢山のリズムに囲まれている。身につけた人に合わせて止めどなく躍動する服のリズム。音符が表現されたBOUSHIと空間のリズム」と本人が語るように、鑑賞者は「早く全部のボウシを被ってみたい」との衝動を抑え切れず、踊るようにボウシと戯れたくなる。
ayumi.mitsukane 2016 Spring/Summer collection, 2015, Photo: Mamoru Horiguchi
そして、壁に展示されているayumi.mitsukaneの独創的なファッションフォトも、もちろん要チェック。昨年11月に台北で開催された「クリエイティブ北海道ミーツ台北 2014」で、期待のブランドとして展覧会やファッション・ショーを行なうなど海外進出も果たした。時代の空気を感じながら新しい表現方法を模索し、沢山の驚きと感動と刺激を与えることが使命と考えている彼女の、その真摯なモノづくりへの想いに満ちた実験的な展覧会に、拍手を送らずにはいられない。
ayumi.mitsukane Exhibition “BOUSHI”
会期:2015年10月2日(金)~30日(金)
時間:11:00~19:00(月曜日・第三火曜日休廊)
※10月12日は祝日のため営業、13日が振替休廊
会場:クラークギャラリー+SHIFT
住所:札幌市中央区南3条東2丁目6 MUSEUM 2階
TEL:011-596-7752
https://www.clarkgallery.co.jp
Text: Aya Shomura