フリードリッヒ・フリック・コレクション

HAPPENINGText: Kristy Kagari Sakai

新しく建てられた橋が本館と隣にある元倉庫をつなげている。リークハレと呼ばれるこの倉庫はこのコレクションのために修繕され、来年の一月からはここでコレクションの残り(2500点にもなるという)をローテーションで展示することになっている。

大きな建物で、幅は20メートル程だが果てしなく長い。一階は5つの部屋に分けられていて、その下に3部屋設けられている。レンガに直接塗られた白いペンキ、高い天井、ラフなコンクリートの床と、雑風景な雰囲気だが、本館に比べて作品がフレッシュで反抗的にも見える。


Rodney Graham “School of Velocity”

極端なロジックが面白いロドニー・グラハムの「スクール・オブ・ヴェロシティー」、マルティン・キッペンベルガーの数々のペインティングと彫刻、ディーター・ロスの巨大で進行中のインスタレーション「ガーデン・スカルプチャー」、トーマス・ストルース、イザ・ゲンツケン、ヴォルフガング・ティルマンス、ダイアナ・タター等の写真と映像、そしてジャン=フレデリック・シュナイダーの100点近い小さい油絵。

地下ではブルース・ナウマンが一つの部屋を、ピピロッティ・リストがもう一つの部屋を、そしてリュック・タイマンス、ヴォルフガング・ティルマンズとトーマス・ルフが最後の部屋を飾っていた。トーマス・ルフが撮ったドイツの普通の家庭のインテリアはとても親密で、建物全体を暖めているように思えた。


Dan Graham

良し悪しあれ、フリックは一人のアーティストを集中的に集めてきたようだ。現在展示されている400点をいくつものレトロスペクティブに分けることができそうだ。ブルース・ナウマン、ポール・マッカーシー、リュック・タイマンス等思い浮かぶ。刺激的でとても面白いコレクションだと思うし展示されるべきだと思うが、フリックが言うように歴史と政治からすっぱり切り離すことはできないだろうとも思う。

その上、これほどの数が一人に所有されているということ自体、アーティスト自身やアートの世界(最近のサーチの倉庫の火事を考えると、特に)にとってなんだか不快な気がしないでもないし、社会的に見てもこれだけの財産が一人に集まっているという不平さを感じてしまう(一人の人が大きな都市よりも購買力を持っているのはやはり困った事ではないか?)。

コレクションはお金も現代アートのパーマネント・コレクションもないベルリンに7年間ローンされていて、その間にその価値は上がると思われる。その後のコレクションの行方はまだ決まっていないようで、フリックの気持ち次第でまた引き上げられる事も考えられる。このコレクションによって現代アートの世界はベルリンに注目するようになったが、最後には取り残されてしまうかもしれない。

Christian Friedrich Flick Collection
会期:2004年9月22日(水)〜2005年1月23日(日)
会場:Hamburger Bahnhof
住所:50-51 Invalidenstraße, 10557 Berlin
TEL:+49 (0)30 26642 4242
https://www.hamburgerbahnhof.de

Text: Kristy Kagari Sakai
Photos: Kristy Kagari Sakai

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