フリードリッヒ・フリック・コレクション

HAPPENINGText: Kristy Kagari Sakai

大きなホールへ入ってすぐの作品も私の好みではない、ジェイソン・ローズの「ザ・ヘモロイダル・インスタレーション」は大袈裟で壮麗な建物とすれ違ってしまっている気がした。しかし、ホールの奥には同じテーマ「クリエーション・ミス」で結ばれている作品が数点置かれており、名高いポール・マッカーシーの「アップル・ヘッズ」と金色のサルとマイケル・ジャクソンの像が面白く、印象的だ。


Paul McCarthy “Apple Heads”

「パーシャル・トルーズ」と呼ばれる次の部屋に進んだ。あたり一面、ブルース・ナウマンだらけ。「ファイブ・マーチング・メン」を始めとする数々のネオン作品、「アンタイトルド(ヘルマン・ギャラリー・パラレログラム)」などの空間彫刻。この作品は白い壁と緑のネオンで狭いスペースを作り、そこに入る人たちを惑わそうとする。

その先の部屋にはトーマス・シュッテが、そのまた先にはダン・グラハム、リチャード・プリンス、フランシス・ピカビアが待っていて、一階のスペースを回り切って二階に上がろうとする時には作品達に夢中になって展示会を取り巻いている論争の事はすっかり忘れてしまっていた。

二階には二つの部屋があり、一つは「ボデリー・インスクリプションズ」、もう一つは「シーノグラファーズ・マインド」と名づけられている。最初の部屋の前には作品の挑発性に関しての注意事項が貼ってあるが、ラインナップを考えればわからないでもない。


Larry Clark

ラリー・クラークとポール・マッカーシーにシンディー・シャーマンと聞けば、大体想像がついてしまう。しかし実際に見てみれば、展示されている写真や彫刻に下品さは全くなく、意義的で情け深かいほどだった。個人的にラリー・クラークが撮ったわびしいティーンエージャーの写真が心に残った。エイヤ=リーサ・アハティラとダヴィッド・クレルボの写真や映像を展示する次の部屋は中でも最も穏やかで綺麗なスペースだった。

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