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時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010

HAPPENINGText: Alma Reyes

現代写真作家・やなぎみわはデビュー作の「エレベーターガール」シリーズから2作品を展示。昭和時代に特に顕著だった労働現場や小売業界において、従属の象徴や奉仕の対象へと貶められた若い女性エレベーターの案内係に焦点を当てる。デジタル写真の三連作《アクアジェンヌ イン パラダイス II》では、同じ制服を着たエレベーター係が床にへたり込み、人間らしさや個性を失った無表情を浮かべている。《The White Casket》(1994年)では同様に、エレベーター内で女性が徐々に溶け出し、やがて血の池へと液化する様子が描かれる。


やなぎみわ《アクアジェンヌ イン パラダイス II》1995年、国立国際美術館蔵 © Miwa Yanagi

第三章「コミュニティの持つ未来」は、グローバル化のなかで、アーティストが地域社会や既存のコミュニティとの関わりを模索し、新たに人々と社会とのつながりや関係性を構築していくプロジェクトの可能性に焦点を当てる。「西京人」は、チェン・シャオション(中国)、ギムホンソック(韓国)、小沢剛(日本)の3人のアーティストによって2007年に結成されたプロジェクトベースのアーティスト・ユニットで、架空の都市「西京」(西の都を意味する)における想像上の活動を検証する一連のパフォーマンス、ドローイング、写真、インスタレーションに取り組んできた。チームはユーモア、風刺、皮肉、不条理を駆使し、伝統、政治、政府、経済、世界的なスポーツイベントを誇張して表現している。その一例が《第3章 ようこそ西京に ̶ 西京オリンピック》(2008年)だ。2008年の北京オリンピックに合わせて制作されたこのシリーズでは、タバコを使ったリレーレース、マラソンマップ、卵を使った砲丸投げなど、即興的なスポーツ種目が考案され、家族や友人が審判や観客の役割を演じ、政治によってしばしば推進される厳粛な式典を嘲笑している。


西京人《第3章 ようこそ西京に ̶ 西京オリンピック》2008年、金沢21世紀美術館蔵 © Xijing Men, Photo: Keizo Kioku, Courtesy: 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa

写真家・小沢剛は自身の作品《ベジタブル・ウェポン-さんまのつみれ鍋/東京》(2001年)で、野菜で作った即席のライフルを構える地元の少女を写し出している。このシリーズは2001年に始まり、世界中の若い女性たちが“野菜兵器”を手にし、後に鍋料理として食される姿を捉えている。破壊の武器が共同体の分かち合いの源へと変容するという皮肉がここにある。小沢はこうして戦争と暴力の愚かさに嘲笑を注ぎ込むのである。


小沢剛《ベジタブル・ウェポン-さんまのつみれ鍋/東京》2001年、国立国際美術館蔵 © Tsuyoshi Ozawa

数多くのミクストメディア作品や表現を精査する過程では、村上隆奈良美智大竹伸朗マシュー・バーニードミニク・ゴンザレス=フェルステルらの作品も含まれ、私たちの不安定な心の脆さ、そして歴史から学んだ教訓が現在と未来における相互関係や物理的世界との関わり方を支配する様について、深く沈潜した思索の瞬間を費やすことになる。

時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010
会期:2025年9月3日(水)~12月8日(月)
開館時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)*入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日 *ただし9月23日(火・祝)は開館、9月24日(水)は休館
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.nact.jp

Text: Alma Reyes
Translation: Saya Regalado

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