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片山真理 作品集「GIFT」

THINGSText: Hikaru Nakasuji

真っ黒な背景に浮かぶ爪の鮮烈な赤と肌色のコントラストに目が釘付けになった。筋肉や血管から生をひしひしと感じる。それもそのはず、本作品集は身体性を通して自己や社会を投影している。そんな片山真理の初の作品集「GIFT」がユナイテッドヴァカボンズ社から発売された。ヨーロッパ写真美術館館長サイモン・ベイカーが執筆、ブックデザインはパリ在住のサイモン・ダラが手掛けた。


片山真理 作品集「GIFT」表紙 「hole on black」(2018) © Mari Katayama

第一に両脚義足のアーティストと紹介されることが多い彼女だが、表紙ではフィーチャーしなかったのには理由があるのではないか。実はこの写真は終盤で登場するのだが、10年以上作品を制作してきた末に、彼女の剥き出しの部分がやっと浮かび上がってきたかのように感ぜられたからだ。


「on the way home #011」(2016) © Mari Katayama

セルフポートレート、オブジェ、インスタレーションなど、手段は様々だが連続して俯瞰で見ると、不思議と一人の人間の姿が明らかになる。


「eyes」(2013) © Mari Katayama

おびただしい数の目玉が見開きにびっしりと詰まっている。ここがひとつの区切りだと思った。そこから目玉を付したレースに包まれたセルフポートレートなどが続く。他人の視線を常に感じながら生きている現代人は胸をきっと突かれるだろう。出る杭は打たれるが、同時に個性を強いられる時代に、片山のようにアンビバレントな気持ちを可視化するアーティストがいることは幸福なことだ。

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