「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」
HAPPENINGText: Victor Moreno
1984年に設立されたカルティエ現代美術財団は、ヨーロッパの社会に向けて、日本のカルチャーやアートシーンを紹介する中心的役割を担ってきた。写真、建築、デザイン、さらには絵画に至るまで、多様な分野の日本のアーティストが、カルティエ現代美術財団の活動に参加し、財団コレクションの一部にもなっている。これまでに同財団が開催した日本人アーティストの展覧会は、三宅一生「メイキング・シングス」(1998年)をはじめ、14に及ぶ。
© Cartier
またカルティエ現代美術財団は、多くの日本人写真家と、展覧会やコミッション、購入に至るまで長期的な関係を保っている。本展では、杉本博司の2つの数理模型(2004年)、荒木経惟の日常写真シリーズ《非日記》(2016年)、森山大道の東京を撮影したカラー写真に加え、アメリカ人写真家ウィリアム・エグルストンとのユニークなコラボレーション、川内倫子のスライドショー《Cui-Cui》(1999~2005年)を紹介し、詩的で時代を超えた日常の中の美を表現する。
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日本初公開となる森山大道のスライドショー《犬と網タイツ》(2016年)は、森山を最も象徴するモノクロ作品を集めたもので、2冊の開いた本を模した4つの巨大スクリーンに映し出されている。また、本展をめぐる来場者に寄り添うように、北野武は一連の新作絵画(2018〜2023年)を初めて展示し、彼のカラフルで想像力あふれる独創的な芸術世界との出逢いを来場者に提供する。
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新進のアーティストを見出そうとするカルティエ財団は、2005年に当時21歳だった松井えり菜を招聘している。本展で展示されている松井の2点の肖像画は、子どもの頃の思い出の品々に囲まれた自分自身を描いたもの。最後の部屋は、石上純也の個展「Freeing architecture」(2018年)がビデオを通して再現されている。これからもカルティエと日本のクリエイティビティとの対話は尽きることなく続いていく。
カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話
会期:2024年6月12日(水)〜7月28日(日)
休館日:毎週月曜日、7月16日(火)*7月15日(月・祝)は開館
開館時間:9:30〜17:00、金・土曜日は19:00まで(入館は閉館の30分前まで)
会場:東京国立博物館 表慶館
住所:東京都台東区上野公園13-9
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
主催:東京国立博物館、カルティエ
特別協力:カルティエ現代美術財団
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
会場デザイン&構成:スタジオ アドリアン ガルデール
https://www.cartier.jp
Text: Victor Moreno
Translation: Saya Regalado
