カルティエ財団現代美術館

PLACEText: Victor Moreno

パリを愛していないひとがいるだろうか。常に注目されてきたこのヨーロッパの中心都市は、世界の最も重要なアートの拠点となっている。セーヌ川の南側にあり、パリのラスパイユ大通り沿いに位置するのが、カルティエ財団現代美術館だ。1984年10月20日に、芸術への後援の先駆的で先見的な取り組みとして設立された。カルティエは、本質的に様々な分野に渡り好奇心と探究心に特徴づけられる展覧会づくりの新しい方法を創り出した。

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View of the building, Fondation Cartier pour l’art contemporain, Paris, 2013   © Jean Nouvel / ADAGP, Paris   Photo: © Luc Boegly

ラスパイユ大通りを下っていくと、ガラスと鋼構造の建物に出くわす。この建物は、1994年に世界的に有名な建築家ジャン・ヌーヴェルが設計したもの。彼が「パリジャン・モニュメント」と名付けたオープンで透明なこのミュージアムスペースは、展示の可能性を無数に秘めた空間だ。この広大で、革命的なスペースは、カルティエ財団のアーティストの想像力によって活性化されてきた。

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View of the building, Fondation Cartier pour l’art contemporain, Paris, 2013   © Jean Nouvel / ADAGP, Paris   Photo: © Luc Boegly

ガラスのエレベーターのある6階からなるオフィスエリアから離れ、展示スペースは3つの階に分けられている。地下はオーディオビジュアルアートに特化しており、1階は展覧会用のスペース。ここから階段を上がると、ライブラリストアがある。アートブックのセレクションには、ジョン・マエダ、アニエス・ヴァルダ、ガス・ヴァン・サント、デヴィッド・リンチ、ヴォルフガング・ティルマンスなど、素晴らしいアーティストが名を連ね、訪れた人をがっかりさせはしない。カタログや本はオンラインショップから購入が可能だ。

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View of the building, Fondation Cartier pour l’art contemporain, Paris, 2013   © Jean Nouvel / ADAGP, Paris   Photo: © Luc Boegly

建物の裏側には、街の喧騒から逃れ、そこで座って静けさを感じながら、リラックスタイムを楽しむことができる素敵な庭がある。この庭は、ローター・バウムガルテンというアーティストがデザインを手掛け、宇宙の実際の輪郭(正方形、長方形、三角形、楕円形)に沿った幾何学図形の5つのユニット構造をこの場所に重ね合わせている。この庭は、計画されたものと手つかずのもの、そのどちらもが存在する自然の壮大さを、訪れた人々に見せるというアイディアを基に、永久に発展し続ける作品なのだ。

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