「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」

HAPPENINGText: Victor Moreno

カルティエと日本の絆を紐解く展覧会「カルティエと日本 半世紀のあゆみ『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」が、7月28日まで、東京国立博物館 表慶館にて開催されている。カルティエが日本に最初のブティックを開いてから50年を記念し、メゾンと日本を結ぶさまざまなストーリーを紹介する本展は、ルイ・カルティエの時代から今日に至るまで、カルティエの作品に日本がいかに影響を与えたか、そして、1988年以降に日本で開催されてきたカルティエの展覧会を振り返りながら、メゾンの歴史を「カルティエ コレクション」の貴重なアーカイブピースとともに紹介する。


© Cartier

教養と好奇心旺盛で、美術愛好家でありコレクターでもあったルイ・カルティエは、日本の文化や美意識に興味を持ち、それを高く評価していたことで知られている。日本を訪れることは叶わなかったが、日本のオブジェや書物を収集し、メゾンのデザイナーたちのイマジネーションを刺激した。カルティエの日本に対する敬意は、これまでに5回の展覧会が日本で開催され、メゾンの歴史と代表的な作品が紹介されてきたことにも表れている。最初の展覧会は1988年で、その後、主要な美術館や博物館にて4回の展覧会が催されている。


© Cartier

表慶館のロビーに入ると、澁谷翔の作品《日本五十景》(2024年)が来場者を迎える。偉大な浮世絵師の先例に倣い日本橋から旅を始めた澁谷は、47都道府県すべてを訪れ、日本全国を35日間かけて旅する間に、毎日地元新聞日刊紙の一面に空の景色描き、50枚の美しい連作を完成させた。カルティエと日本のつながりの過去、現在、未来を融合することを企画する本展と同様に、本作品は、こうしたつながりの連続性を示すものであり、絶えず進化させ刷新し続けるカルティエの歴史を象徴している。


© Cartier

スタジオ アドリアン ガルデールが手がけた本展の会場装飾は、日本の文化と美学に対するメゾン カルティエの敬意と、歴史的建造物である表慶館の意匠への称賛を反映している。右側の展示室では、伝統的な日本の建築に着想を得たつくりと素材が取り入れられ、一つひとつの作品を際立たせている。左側の展示室では、日本の工業デザインが活きる構造体に、カルティエ現代美術財団と日本との大胆で活気に満ちた歴史の中で生み出された、アーティストたちの作品が並ぶ。

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