ビーザー
PEOPLEText: Kyoko Tachibana
DIESEL ART GALLERYで開催する写真展「VOICES!」について教えてください。どのような内容ですか?
イギリスやバルセロナでも80年代にデモがあった時に、沢山撮影しました。これらのデモの発端は、イギリスの炭坑夫たちのストライキでの様々な問題から、アパルトヘイトにおける住居問題、核軍縮に至ります。現在世界中で起きているプロテストから見て、状況は今も変わっていないのだと感じます。展覧会を開催するにあたって、キュレーターがこのような分野に精通していて、早い段階でこのようなコンセプトを設定している時点で「アラブの春」が起こったため、展覧会がオープンに至るまでにそのコンセプトの背景が自然と増幅していきました。
Scum © Beezer Photos
今回のタイトル「VOICES!」について、写真で声なき声を伝えるというメッセージが感じされます。あなた自身タイトルにどのような思いを込めたのでしょうか?写真によって伝えたいメッセージはありますか?
イメージというのは音で発することがありませんが、伝達する人々の声やプラカードやバナーに書かれているメッセージは視覚的に訴えています。このような、音の無い声は、視覚的にその声が与えられるわけです。展覧会では、背景の音として、街の音、音楽、人々がなぜプロテストするのか、最近起きたイギリスでの暴動について思うことなどをインタビューした音源が流れています。この展覧会では、このような音やビジュアルで構成されています。
Photo: Mark Oxley
東京にも住まわれていたことがあるようですね。ブルストルと東京の違いをどう感じていますか?
東京は最初はとても馴染みにくい都市と感じました。あるレーベルで仕事をしていたのですが、友達もできず、テレビも何を言っているかわからないし、大変でした。以前から日本とは関わりがあったにも関わらず、カルチャーショックを受け、住民として認められるには様々な障壁がありました。4~6ヶ月後には、色々なことが改善しました。東京はカメラに対してフレンドリーで、撮影がしやすい都市でした。今私がイギリスで関わっているプロジェクトの中で、例えばブリストルでのプロジェクトを挙げれば、どこで撮影するにもまず許可が必要です。何も繋がりがない人が、突然来て撮影するというのは不可能です。まずはそこに住みついて、周りの人々と面識を持ち、それから初めて撮影の交渉ができるのですが、東京では、歩いている途中で、撮りたいものがあれば、他の人がいやがらなければ、勝手に撮影できる。少なくともイギリスでは、撮影するにはもう少し方法を考えなければいけないですね。
Photo: Mark Oxley
最後に個展を見に来られる日本の人達へメッセージをお願いします。
沢山の人が、私の活動に共感を持ってくれていることにありがたく感じています。かつて、自分があまり知られていない時代もあったので、私の作品を気に入ってくれる人々がいるということに幸せを感じます。もちろん、私が写真を撮っているということ、素晴らしい場面に遭遇していることも重要ですが、私たち全員が同士であり、皆が役割を果たしているのです。
VOICES! by Beezer
会期:2011年11月18日(金)〜2012年1月29日(日)
時間:11:30~21:00(不定休)
会場:DIESEL ART GALLERY (DIESEL SHIBUYA内)
住所:東京都渋谷区渋谷1-23-16 cocoti B1F
TEL:03-6427-5955
キュレーター: John Boreland (有限会社アウトゼア / Soulful Management System Ltd.)
協賛:株式会社サンエムカラー
https://www.diesel.co.jp/art
Text: Kyoko Tachibana
Photos: Mark Oxley