スパイク・ジョーンズ展「THERE ARE MANY OF US – I’M HERE」
HAPPENINGText: Wakana Kawahito
スパイク・ジョーンズの短編映画「I’m here」は、ロボットが主人公の切ないラブストーリー。2009年に公開された前作、「かいじゅうたちのいるところ」に続いて制作され、2010年のサンダンス映画祭で初上映された。この映画のスケッチや劇中で使われたキャラクターを展示した展覧会「THERE ARE MANY OF US – I’M HERE」が、東京・渋谷のDIESEL ART GALLERYにて、2011年5月15日まで開催されている。
「I’m here」は、優しいが気が弱く社交ベタな、図書館で働く男の子のロボット、シェルダンと、明るくてドジな女の子のロボット、フランチェスカが出会い、恋に落ちる物語。登場人物の微細な心の揺れが表情で語られ、走ったり踊ったりする時の動きは滑らかで、ロボットはまるで人間のように表現されている。ビジュアル・エフェクツが随所に使われているにも関わら ず、アナログ感のあるロボットのビジュアルと、スパイク・ジョーンズらしい映画全体の柔らかな光の使い方が、この映画をハンドメイド感のある印象に仕上げている。
今回の展示では、キャラクターのアイディアスケッチや、劇中のワンシーンやメイキングの様子を捉えた写真などが飾られ、映画の中で使われたロボットやネズミのキャラクターの実物を間近で見ることができる。映画に登場するキャラクターは2人のアーティストによって作られた。
ロボットのデザインは、「かいじゅうたちのいるところ」でもキャラクターデザインを担当した、ソニー・ジェラシモウィックによるもの。このロボットは、機械なのに不完全でよく間違いを起こす、人間味を帯びたキャラクターだ。劇中に出て来るネズミは、ニューヨークの若手現代アーティスト、メリル・スミスの作品。不思議な身体バランスを持 つネズミは、薄くて弱いカラーペーパーで作られているのに、動き出し、しゃべり出しそうな現実感を持っている。
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