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三上晴子

PEOPLEText: Mariko Takei

海外でも作品を展示されていますが、日本と海外での反響には何か違いはありますか?

ありません。「違いが無い」ということが特徴かもしれません。というのも、今までの私の作品が「視覚」「聴覚」「触覚」「重力」など人間の根幹をテーマとしているので、社会的、文化的背景が多少違っても、人間としての身体のインタラクョン体験としては、同じだからです。多いときは1年に4〜5回ほど、ヨーロッパで展示を行いますが、日本的、アジア的、女性性という事で作品が呼ばれることもないですし、「日本の何々展」というものにもあまり参加したことはありません。

作品を制作する上で、どのようなことからインスピレーションを受けますか?

アートはある意味において「現実社会の鏡」であることから考えても、私も「日常生活」からインスピレーションを受けていると思います。イメージ的には突然の思いつきも多いかもしれません。この思いつきは、まず私なりの「現実空間」のイメージがあり、それに2重に重なり合いながら「もうひとつの少し変わった別の現実空間」が現れてきます。この2つの空間イメージが必ず同時に存在しています。実現可能かどうかは別として、作品化するのはこの混合イメージになります。たまに「世界の裂け目を見る」という旅に行くのですが、この自然の亀裂や、境界線に立つことによって得られることも多いです。とは言っても、大学でもフルタイムで働いていますし、作品以外のことに取られる時間もかなり多いので、混沌とした日常のスパイラルから制作する時間を捻出しているという感じです。

今後手がけてみたいこと、手がけてみたいトピックなどあれば教えて下さい。

手がけてみたいことはかなり多いのですが、現実的には、8月から9月までのウィーンの美術館での展示後に、本作の更なるブラッシュアップを行う予定です。サーチアームの数を12台に増やし、作品に取り付けられたカメラ部分の焦点に関するプログラミングを強化します。観客が留まることに応じて、カメラがズームイン&アウトしていくタイミングや、観客の動きのトレースを複雑化して、アームがまるで頭脳を持っているかのように、観客の行動の真似をする、というようにしたいと考えています。また現在の天井に張り巡らせたセンサーをアーム自体に内蔵させるなど、2010年中にアームに関しての大幅なバージョンアップをしていく予定です。

また、2011年中には「多視点」というコンセプトをもう少し、突き詰めたもうひとつの「欲望のコード」作品を制作、このシリーズを完成させる予定です。

ほかにも、何百もの小型のマシーンが空中を漂い飛び交うインスタレーション、何十万本もの人工の草の先に光センサーを取り付けたインスタレーションや、建築的な規模の作品など、スケッチブックの中にある有象無象のアイディアを何とか少しでも実現する方向で動いて行きたいと考えています。

三上晴子 新作インスタレーション展「Desire of Codes -欲望のコード- 」
会期:2010年3月20日(土)〜6月6日(日)
時間:10:00〜19:00
会場:山口情報芸術センター[YCAM]
住所:山口県山口市中園町7-7
TEL:083-901-2222
入場無料
https://www.ycam.jp

Text: Mariko Takei

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