河地貢士
PEOPLEText: Mariko Takei
うまい棒で仏様をつくるというアイディアはどのようにして生まれたのですか?
この作品は祖父の死の直後に制作しました。初めて親族として葬式に関わったことで、仏教、宗教ということに強く影響を受けた時期でした。
江戸時代の僧の円空が彫った仏像で「円空仏」というものがあります。円空は修行の旅でお世話になった家々に、お礼として仏像を彫っていました。その円空仏の多くは仏壇に飾られることなく、子供のオモチャとして扱われて、ボロボロになっていたりしたそうです。他の仏像とは全く違うフレンドリーな仏像に非常に感銘を受けました。円空は“棒切れ”に仏像を彫って、子供にオモチャにされました。僕は子供の大好きな駄菓子“うまい棒”に仏像を彫刻しました。
新作「Snack Diamond Ring – For the Love of Now」/ pARa:siTe / a ring of Poteko with 8 diamonds
スナック菓子に着目したのはなぜですか?また、スナック菓子の王道とも言える、ポテトチップス、ベビースター、うまい棒をセレクトした理由は特にありますか?この3種類以外にも注目しているお菓子があれば教えて下さい。
スナック菓子を使ったのは、石や木や金属といった素材より「“ため口”な表現ができるのでは」と考えたからです。あとは、明るく奔放な存在感に魅力を感じました。
ポテトチップス、ベビースター、うまい棒をセレクトした理由は、おっしゃる通りの王道だから。スナック菓子の代名詞的存在であることが重要でした。
注目しているお菓子は「ハッピーターン」ですかね。かなりの潜在能力を持っていると思います。
「まんが農業」2009 / Comic book, Seeds (Radish sprout), Water, Sun, Air
コミック雑誌を利用して植物を育てる作品「まんが農業」について教えて下さい。
僕は美術作家なので、漫画で野菜を栽培してみました。
苗床の漫画に水を充分に含ませて、別で発芽させておいた苗を好きなページの間に挟みます。漫画と水で野菜を栽培するという作品です。
ほうれん草や人参など色々な野菜を試してみたのですが、根づいて成長したのはカイワレ大根ぐらいでした。結局のところ、ひょろひょろと成長するカイワレ大根が漫画には一番合っていたように思います。
「まんが農業」2009 / 名古屋松坂屋 / Comic book, Seeds (Radish sprout), Water, Sun, Air
苗床の漫画の内容まで吸って成長してるように見えるところ、あまり成長しすぎると自分自身の重さで倒れてしまうところなど、なんとも魅力的な作品に仕上がりました。
この作品でもそうですけど「よくわからないけど何だかいい感じ」というモノをつくっていけたらいいですね。
作品をつくる上で、インスピレーションは何から得ていますか?
部屋の隅に溜まったホコリ、晩ご飯のにおい、猫の肉球の感触など、自分の周りのあらゆるモノやコト。
今回手掛けて頂いたSHIFTカバーについてご紹介ください。どのようなアイディアをもとに制作されましたか?
作品タイトルは「OASIS(オアシス)」。このカバーのために制作した作品です。「ポテトチップス[のり塩]」のポテトチップス一枚についている青海苔を一カ所に集めました。限りある緑、環境保護へのメッセージを込めました。
今後、挑戦してみたいことなどあれば教えて下さい。
「ハッピーターン」に挑戦してみたいと思います。(笑)
あとは「まんが農業」の時は植物でしたが、その他の自然と絡んだ作品にも挑戦したいですね。
うまい仏〜the snack age〜
会期:2010年4月1日(木)〜16日(金)会期中無休
時間:9:00〜17:00
オープニングレセプション:4月3日18:00〜20:00
会場:pARa:siTe(パラ:サイト)
住所:石川県金沢市松寺町子24番地1
TEL:076-238-0788(G-WING’Sギャラリー内)
https://shiryokuen.com/parasite.htm
Text: Mariko Takei