ソナー 2008

HAPPENINGText: Takashi Kawashima

バルセロナ現代美術館を中心とした会場から徒歩10分程の場所に、もう一つのメディアアートの展示「ソナラマ」の会場がある。ここでは音や光を使ったインスタレーションが展示されていた。その中でもパブロ・ヴァルブエナによる「Augmented Sculpture Series」は多くの注目を集めていた。

ソナー 2008

作品は部屋の片隅に積まれた複数の無機質の長方形と、天井から吊られたビデオプロジェクターによって構成されている。作品には、それぞれの箱を縁取るような白線がプロジェクターから投影され、次第にその白線が箱の縁からずれるように動き出す。鑑賞者は箱自体が歪み始めたかのような錯覚を起こすという作品だ。

このような、既存の環境にコンピューターを用いて情報を付加する技術は「Augmented Reality(拡張現実)」と呼ばれ、バーチャル上で電子情報を操る技術「バーチャルリアリティ」に対照するものとして、近年注目を集めている。その技術を巧みに用いた同作品は、今後の拡張性を高く感じるものだった。

ソナー 2008

会場を「ソナー・バイ・デイ」からやや郊外のコンベンションセンターに移し、連日夜11時頃から明け方までソナー最大のイベント「ソナー・バイ・ナイト」が行われる。コンベンションセンター内には一万人規模収容のステージが隣り合うように4つ隣接され、同時並行で多数のコンサートが繰り広げられる。バルセロナ中心地からは多数のシャトルバスが夜通し運行され、コンベンションセンター外にも無数の屋台や露店が立ち並ぶ。この「ソナー・バイ・ナイト」には、その年を代表するエレクトロニック・ミュージシャンが多数集結し、世界各国で開催される野外フェスティバルの季節の到来を告げる象徴的なイベントとしても有名である。

SONAR 2008
会期:2007年6月19〜21日
会場:CCCB、MACBA、Centre d’art Santa Monica
住所:5 Montalegre, 08001 Barcelona
https://www.sonar.es

Text: Takashi Kawashima
Photos: Courtesy of SONAR © the artists

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