イグザクティテューズ

HAPPENINGText: Ania Markham

私が今まで見た中で最も忘れ難いウィンドウ・ディスプレイの一つは、「イグザクティテューズ」という本のためのものだった。アムステルダムのアテーネウムという書店には、本から湧き出るイメージをそれらの窓に飾り付けするという驚くほど美しく、シンプルな考えがあった。人々はそれを見ないで通り過ぎることはなかった。そして、その夜は猛烈に雨が降っていたが、人々はガラスに顔を近づけ、ショーウインドウの中を指で差したり、それについて話していた。

では、彼らは一体何を見ていたのだろうか?簡単に言うと、それはお互いが全くそっくりな人を選抜に選抜を重ねたものである。私は、サブカルチャーに関しては鋭い批評眼があると思うが、今回見せられたものに欠点はなかった。私は個人的に、イグザクティテューズの成功の理由は、どの「集団」を取り上げるべきかの選択に、またその集団の中にどのメンバーを入れるかに洞察力が満ちていたこと、であると思う。だから、アリ(イグザクティテューズの中のロッテルダムデュオの一人)がインタビューに迅速に応じてくれたときの私の興奮を想像いただけるであろう。

イグザクティテューズは、1994年に写真家のアリ・ヴェルスルイスとスタイリストのエリー・イッテンブロークが、KPN(オランダの通信会社)のキャンペーンでテレホン・カードなどに若者風のイメージをデザインするのを思いついた事から始まった。当時ロッテルダムは、ガバと呼ばれる労働者階級の若者文化が広まっている中心地だった。 アリはそれらを、『イタリアのキャンディで着色したようなトラックスーツに身を包んだ連中。大胆で、潔癖な恐怖。ハードコアミュージック、bpm180のXTCへの傾倒』と描写した。彼らは数人のガバの写真を撮ってすぐに、彼らが皆同じに見え、区別がつかないと気づいたのだ!アリたちは周囲にカモフラージュすることによって、外観上何百もの同じような写真を撮ることができた。そこで、彼らにはある考えが生まれた。

アリとエリーは「単一化されたアイデンティティ」で統一されたグループを更に捜し出して、グループ自体のアイデンティティを仮定することで他人と自分を区別する事の皮肉を見つけようとした。彼らの調査により皮革商、マサラス、おばあさん達、およびゲーム好きな少年達の代表的なグループがいくつか選び出された。

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