ソナー 2004
HAPPENINGText: Peta Jenkin
しかしそんな中でも「イヴルーゴ・メンタル・ステイト」には参加した。これはバルセロナのアーティスト、イヴルによるプロジェクト。1968年頃に設立されたというこのプロジェクトは、“喜びと笑いを殺す皮肉の武器”であり、“独裁と普遍”という哲学がある。おもしろそう!ポーズをとってこの写真の一つになり、デジタル処理され、このプロジェクトの一つになることができたら楽しそうと思い、自意識を捨て、この奇妙な精神空間にあるヌードの新メンバーとして参加したのだ。
The ‘Evrugo State’ exhibition room (© 2004 Advanced Music S.L.)
近いうちにその写真がウェブサイトにアップされるそうで、その連絡を待っているところだ。そしてラッキーなら、いや私の身体がイヴルの理想に合えば、その写真が大判印刷され、どこかの展覧会で展示されるかもしれない!
「ソナーラマ」には他にもまだ見たいものが沢山あったのだが、誰もが避けたいと願っていた雨が降り出してしまい、2万人もの人がいる屋内に入った。フェスティバル最終日が雨になってしまったのは残念だったが、しかしそんなものは関係ないようだった。「ソナー・ビレッジ」では、雨の中沢山の人が踊り続け、「ソナー・バイ・ナイト」での豪華なショーのためのパワーを蓄えに、街に食事に出かける人もいた。
プログラムは実に幅広いものだったが、例えば空間の人の動きを元にした作品など、見る側が“体験”できるような、アート・インスタレーションが見たいと思っていたら、そんな作品を一つ見つけることができた。モトローラがスポンサーとなっているものなのだが、それは会場をつなぐ通路のところに設けられていた。このようなアイディアがフェスティバル全体に感じられたらもっと良かったかもしれない。他にもう一つ指摘するとすれば、「ソナー・アラカルト」のシートを得るのにものすごい長い時間を待たなければならないところだろうか。電気ショックを軽く与えられるような装置で、快適なコンピューターとソファ使用のタイムオーバーだと知らせる係員がいるべきだと思う!
LED ‘Paintings’, where cameras input the viewer’s image inside the frame
このような小さな不満はあったにしろ、今年のソナーは実に幅広い範囲の素晴らしいデジタルアート作品を見せてくれた。カンファレンスやフォーラムではアーティストやプロフェッショナルたちが出会い、最近の活動について討論したり、また訪れる側にとっては、作品の原点により近い視点から深く楽しむことができたと思う。たとえオーディオビジュアルのプレゼンテーションを見る時間がなくても、お気に入りのDJの音楽で1万人もの人と一緒に踊りながら、スクリーンに映る斬新なデジタルアートワークを常に見る事ができた。
今回のソナーでは、いろいろな方面で技術的なツールに強く焦点を当てていたが、イマジネーションの表現を追求するなかでそのようなツールにコントロールされるべきではないことを強く感じさせられた。最先端のアート、音楽、テクノロジーの祭典、ソナーは革新的なものや実験的なものに対して妥協することのない、最も進歩的なフェスティバルの一つとしてその歴史を築き上げてきたという証拠だろう。
Sonar 2004
会期:2004年6月17日(木)〜19日(土)
会場:バルセロナ(スペイン)
https://www.sonar.es
Text: Peta Jenkin
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Peta Jenkin