バーニング・マン 1999

HAPPENINGText: Yoshikazu Iyomasa

1986年に2人のアメリカ人が始めたこのイベントも、今では世界規模のフェスティバルとなってしまった。海外のメディアも毎年数多く訪れている。そんな中で、最近はイベントの質が落ちてしまったという声も多い。それは確かに自分自身参加していて感じるところでもある。しかし、「No Spectators」というバーニング・マンの基本精神がなくならない限りは、まだまだ大丈夫だろう。



日が暮れると、会場のいたるところでネオンが輝きだし、本格的にパフォーマンスが始まりだす。ファイアーダンス、火炎放射器、卑猥な言葉をふんだんに使ったお芝居、ポルノムービーの上映会。ものすごい低周波の音がするので振り返ってみると、トレーラーの上で人工的に雷を作り出すパフォーマンスをしていたときには本気で驚いた。レイブだってもちろん行われる。満天の星空の下で踊っていると、真っ暗な地平線と星空が融合して、まるで宇宙で踊っているようだった。

そしてイベントの名前の通り、最終日には15mの高さのバーニング・マンに火をつけて燃やしてしまうのだ。さすがにこれはヤバい光景で、炎に包まれたバーニング・マンを囲んで、1万人以上の人間が最後のバカ騒ぎをして、わずか1週間のイベントは終了する。



僕らは今、様々なレイブに参加することができる。東京では毎晩クラブは動いているし、野外のレイブだって毎週のようにどこかで行われている。しかしちょっと待てよ? いつからこういうスタイルになってしまったんだろう。僕らはお金を払うお客さんで、DJはモテる対象? 僕らも参加者であり、他の参加者とも自由にコミュニケーションをとって、みんなで楽しくやっていきたいと思わないか? 商業主義、という観点ではモードもロックもテクノも死んだ。では次の「Next One」はどこから生まれてくるのだろう? ひょっとしたらバーニング・マンはその答えをもう生み出しているのかもしれない。

そんなことを砂漠の中で考えさせてくれるいいイベントだった。

Burning Man 1999
会期:1999年8月29日(日)〜9月5日(日)
会場:ネバダ州, Black Rock Desert
https://www.burningman.com

Text: Yoshikazu Iyomasa
Photos: Yoshikazu Iyomasa

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