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「レコードジャケットの写真とアート」展

HAPPENINGText: Victor Moreno

多くのアルバムジャケットは、音楽や表現をするアーティストと同じくらいアイコニックになっており、彼らのスター性やレコード会社のアイデンティティを形作ることに役立っている。アルバムジャケット写真をユニークな「芸術作品」として楽しむことに重点を置き、フォトグラファーズ・ギャラリーは、「レコードジャケットの写真とアート」展(For The Record: Photography & The Art of The Album Cover)を開催している。物理的なジャケットそれ自体として展示されている。これらの実際のアイテムのサイズは一般に約32cm四方あり、写真とアート作品の美しさを表現するのに十分な大きさである。レコード販売は過去10年間で増加しているものの、現在多くの人々にとっての物質的な経験はスマートフォンの画面に限定されたアート作品であるジャケットと共に、デジタル配信によって時代遅れになってきている。


Vinyl: Grace Jones, Island Life, Island Records – 207 472, France, 1985. Photography: Jean-Paul Goude ; Design: Greg Porto

ポール・マッカートニーはかつて明らかにした。子どもの頃初めてレコードを購入した時、彼は、家に帰る約一時間のバスの乗車中にジャケットの写真、デザイン、歌詞を学びながら、魅了されていた、と。今はそれどころか、音楽産業内で、実際のものや職人技を愉しみ味わう文化的遺産は、メタバースの台頭とともに消滅しつつあり、ニッチである。本展では、おそらくあまり知られていないアーティストやフォトグラファー、グラフィックデザイナーや独創的な人たちであるが、一様に先見の明のある人々の功績に注目している。


Vinyl: Miles Davis, Tutu, Warner Bros. Records – 1-25490, United States, 1986. Photography: Irving Penn ; Design: Eiko Ishioka

ザ・ローリング・ストーンズのロバート・フランクによる伝説の写真や、ジャン=ポール・グードによる忘れがたいグレース・ジョーンズのジャケット、アーヴィング・ペンによるマイルス・デイビスの魅力的なクローズアップなど、音楽産業で最もアイコニックで人気のある作品に焦点を当てている。リチャード・アヴェドンの特有の見識豊かなスタイルやジャン=バプティスト・モンディーノによるプリンスやビョークなど、数えきれないほどのアイコニックなポートレートたち。

展覧会は、一連のテーマ別の「章」を中心に構成されている。単独や長期どちらとものクリエイティブなコラボレーションを提供、例示している。リー・フリードランダーとアトランティック・レコード(ハンク・クロフォードやレイ・チャールズなどの巨匠のジャケットを含む)の象徴的な関係そして、フランシス・ウルフによるブルーノート・ジャズレーベルとのアイコニックなモノクロの作品。展示会では、現代アートや写真を代表する多くの他の人物の作品も見ることができる。アンディ・ウォーホル、シンディ・シャーマン、デヴィッド・ベイリー、デビット・ラシャペル、エド・ルシャ、エリオット・アーウィット、ギイ・ブルダン、ヘレン・レヴィット、ジャケットイメージによってキャリアを乗り出した多くの人たち。

音楽史の中でアイコニックなジャケットはいくつか残されている。これは「必然的」である。とりわけ、アントン・コービン、ニック・ナイト、そしてジョエル・ブロドスキーなどの名は含まれていない。それにも関わらず、展示会はとても完璧なように感じられる。これらのアーティストの作品全てに加えて、本展はまた受賞歴のあるさらによりアイコニックな写真を創作するフォトジャーナリズムを使用したアルバムジャケットのシリーズを特集している。いくつかの一般に知られている例として、レッド・ツェッペリンの最初のアルバムの炎の中の飛行船や、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの焼身自殺した僧侶の写真のアルバムジャケット(1963年度の世界報道写真大賞受賞作品)がある。

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