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ステファン・サグマイスター「ハンドメイド」展

HAPPENINGText: Christina Merl

ウィーンにあるオーストリア応用美術館(MAK)では現在、新進気鋭のオーストリア人デザインスターの初のグラフィック展覧会が開催されている。彼の刺激的で、時に型破りなグラフィックは、現在のデザインの主流に相反していると言えよう。うわべだけの薄っぺらい効果を追い求めるのではなく、彼の作品からは、想像力とクラフトマンとしての精神が感じられるのだ。


Aiga Detroit – Poster, offset print, 690 x 990 mm, 1999 © Stefan Sagmeister

彼の名はステファン・サグマイスター。ウィーン生まれのグラフィックデザイナーは、過去10年間以上、ニューヨークのデザインコミュニティに大いに影響を受けている。彼が手掛けたジャケットのデザインは、ローリング・ストーンズ、ルー・リード、デイビッド・バーン、エアロスミス、パット・メセニーなど。それらを通じで、国際的なキャリアを築きあげてきたのだ。


Rolling Stones, Bridges to Babylon – CD and poster action, 1997 © Stefan Sagmeister

ステファン・サグマイスター「ハンドメイド」展は、ニューヨーカーのテイストも持つ彼のグラフィック作品を紹介するもの。彼自身、過去にグラフィックデザインやパッケージで数々の賞にノミネートし、国際的な賞の受賞もある。本展では、人工的な、そして独創性に欠けたコンピューターグラフィックに対抗するサグマイスター独自の嫌悪感が表現されている。素材や機能を考慮した後に、「自称、デザイナーというよりも発明者」と名乗るサグメイスターが辿り着いたものは、「ハンドメイド」という特有のソリューションだ。そこからは、ユニークな現代的グラフィックデザインがどのように見えるのかという見解を感じることができる。


HP Zinker, Mountains of Madness – CD, 1994 © Stefan Sagmeister

ポスター、本、名刺、絵葉書など、140点にも及ぶ作品。そこからは、サグマイスターをウィーンから香港、そしてニューヨークへと導いたステップを見ることができる。彼がデザイン会社をニューヨークに設立したのは、1993年のことだ。

事実、彼の作品は最近の流行とは全面的に相反している。香港時代にはその地域で使われている文体を描き、新しく、そして破壊的なパワーに変えていた。そして1993年、ニューヨークでは広告に力をいれはじめる。アメリカ・グラフィック・アート協会(AIGA)の会議用ポスターの内容を、自らの体にペイントするなど、過激な表現方法になってきたのは1999年頃からだ。


David Byrne, Feelings – CD, 1997 © Stefan Sagmeister

若手アーティストにとって、CDのジャケットは、特別な挑戦ともいえる仕事だ。自らのデザインに変化をもたらし、新しい糸口を見い出し、描くことによって、見る側のイマジネーションを刺激する。例えばポストカードのデザインが時計のデザインとして、あるいはCDジャケットがレコードプレイヤーの壁紙として使われる、といったように、彼の作品は様々な方法で使用可能だ。

多種多様なデザイン方法を組み合わせることで、独自の美学を確立するのに成功したサグマイスター。それは音楽業界で大量生産される商品を、ユニークなアート作品として生まれ変わらせているのである。

MAKのディレクター、ピーター・ノーエバーと、デザイン雑誌「EYE」の創設者、リック・ポイノーの協力により、MAKで行われた展覧会を集めた作品集が近日発表される。そしてこの出版物のデザインを手掛けたのが、ステファン・サグマイスターだ。

Stefan Sagmeister: Handmade
会期:2002年9月25日(水)〜2003年1月5日(日)
時間:10:00〜18:00(月曜日休館)
会場:MAK, Austrian Museum of Applied Arts
住所:5 Stubenring, A-1010 Wien
TEL:+43 (0)1 711 360
https://www.mak.at

Text: Christina Merl
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Courtesy of MAK, Austrian Museum of Applied Arts © Stefan Sagmeister

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