「写真の中のファッションとスタイル」展

HAPPENINGText: Sergey Safonoff

ようやくファッション産業界にも春が来た。突然、最高に面白いショーと展覧会がモスクワのギャラリーやトレンディなショップなどに現れたのだ。熱狂的なアクションと猛烈なペースで繰り広げられているイベントを(例えば数えきれないほどのテーマで行われるパーティー等)、いっぺんに全部見るなんて実際のところ不可能に近い。そこで皆、最高の楽しみを手に入れるために究極の選択に迫られるのである。

「ファッション・オブザーバー・デイ」はオランダのデザイナーとのコラボレーションでマリロットホテルで開催された。「健康的折衷主義」という2時間のスペクタクルはフローリスト、シューズ、ドレス・デザイナーの手によって完成した。終盤のクライマックスは全て生花を料理して作ったスペシャルディナーで飾られた。パンクとヒロインティックの僅かな名残りがミックスされた、80年代の人工的でものの溢れた時代という雰囲気がコンサバなバンケットホールに流れた。

2回目の開催となる「写真の中のファッションとスタイル」展はモスクワで終わったばかり。このプロジェクトではぎっしり詰まったスケジュールの中、首都・モスクワで高い評価を受けている多くのギャラリーで開催された。レトロなものから前衛的なものまでスタイリッシュなアート写真をフィーチャーしたこのイベントはとても印象的だった。

ロシア現代史博物館で開かれたこのフェスティバルのオープニング展へ行く機会に恵まれた。この展覧会では、エントゥアレッジ、アートクロニカ、アフィシャ、ボーゲオジア、ドモボイ、ドロゴイ、カク・ポトラティト、クルトリクノスティ、メッザニ、プトゥック、タブレット、ビキニ、コスモポリタン、デザイン・イラストレイテッド、エル、ファッションルック、ファッションガイド、GQ、ハーパーズ・バザール、ル・オフィシエ、マリ・クレール、プレイボーイ、プレミア、ボーグといった沢山の雑誌による多様なアートプロジェクトが行われていた。ファッション誌は現代美学を形成するのに一番早くて効果的なツールである。旬の写真家が撮った最新の作品が雑誌に載っているのだから。

説明はまだ半分くらいしかまとまっておらず、作品もまだあまり展示されていなかったが…。オープニングは、無料で配られるコニャックを手にしたビジターの見守る中進行した。全体の流れと次々かわる背景によって作られたライブ感はコンセプチュアルな要素を付け加えたが、アーティストの超越したプロ意識にもかかわらず、テクノロジーや形式といった極めて典型的で「廃れた」テーマに焦点を当てていたという気もする。それでも、本当に独創的な作品もあった。

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