オコイマツ

PEOPLEText: Ayumi Yakura

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「超じゆう戯画、もしくは札幌」2016年, 420 x 594 mm, 紙に転写インク

現在の拠点、札幌で集めた試し書きによる作品「超じゆう戯画、もしくは札幌」は、これまでとは違い、カエルやウサギを擬人化した日本の古い絵巻物「鳥獣戯画」を模しているそうですが、何かを風刺しているのですか?

鋭い質問ですね(笑)風刺については考えていませんでした。札幌の某大型文房具店では、試し書き用の紙がレジのレシート用紙のようにロール状の巻き取り式になっていて、それを見ているうちに「絵巻物のようなだな」と思えてきました。それで鳥獣戯画を結びつけてみようという、少し実験的な試みでした。鳥獣戯画のシーンに見えるように、様々な線を試し書きから探しては、ウサギの耳の一部、カエルの背中の一部、と当てはめて絵を作っています。

作品のタイトルを見ると、例えば「試聴だけで3度変わるー1度目、もしくはロンドン」など、なんだか意味深ですね?

タイトルについては、マックス・エルンストというシュールレアリスムの画家の作品タイトルに引っ掛けている場合が多いです。エルンストのコラージュ小説という作品郡がとても好きで、オマージュというと僭越ですが、尊敬を込めて。「もしくは」の後に付いているのは、描き出している都市、その試し書きを集めた都市です。

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「この色じゃない」「この色でもない」2016年, 970 x 1,300 mm, キャンバスに油彩

試し書きのメモをそのまま再現して拡大した新作には、どのような意図があるのですか?有名なキャラクターが大胆に描かれていて笑ってしまいました。

某ド○えもんですね(笑)試し書きメモをそのまま縦横等倍率で拡大模写した作品です。たぶん15倍くらいです。ある1枚をそのままですから、何枚ものメモから線を拾って集合させて描いた他の作品とは違って、余白の残り方とか線と線の距離などはあるがままです。

これもキャンバスに油彩ですが、特に絵の具を厚塗りしてゴテゴテに描きました。そうすると、近づいて見ると1本の試し書きの線は幅1〜2cmの太さで、その中にモタモタ、ゴテゴテした筆跡が見える。でも離れてみるとその線の試し書きのスピード感が見える。それが、例えば「飛行機は実際は超スピードだけれど、下から飛んでいる所を見るとゆっくり動いている様に見える」とか「新幹線は乗っているとスピードを感じるけれど、遠くから見ると遠景をゆっくり動いている」とか、都市の中で感じる体験と重なるように思えるんですね。

この作品を風景画と思う人はいないと思いますが、私は都市や街の風景を1枚の試し書きの中に見ています。

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「ロンドン+札幌の或る文房具店にあった試し書きの模写」2015年, キャンバスに油彩

試し書きの線を集めに行ってみたい街はありますか?

自分で行くのは難しいかもしれませんが、中東などアラビア文字の試し書きがあったら是非手に入れたいです。とてもミステリアスなカタチをした文字が、どんな風に試し書きされるのか。試し書きというシステム自体あるのかどうか分かりませんが…。

これからの目標を教えてください。

札幌はとにかく雪景色が素晴らしいので、都市と雪をテーマにした作品も面白いのでは、と思っています。雪が降ると、足跡やタイヤ痕や車の泥水で汚れた色の変化や…痕跡フェチとしては(笑)獲物が豊富ですので。ロードヒーティングによって少し溶けた雪の跡などもすごく面白いので、未開拓のジャンルですがアースワーク的なインスタレーションも、いつかやってみたいです。

MACHINAKA ART-X_edition vol.20
Okoimatsu 個展「誰かのあとで少し見える#2」

会期:2016年5月2日(月)~6月30日(木)
会場:クロスホテル札幌
住所:札幌市中央区北2西2 ミートラウンジ
主催:クロスホテル札幌(企画課 011-272-0051)
キュレーション:クラークギャラリー+SHIFT
協力:まちなかアート
http://www.crosshotel.com/sapporo

Text: Ayumi Yakura

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