ロンドン・デザイン・フェスティバル 2008

HAPPENINGText: Sayaka Hirakawa

ヨーロッパ最大規模のデザインの祭典、ロンドン・デザイン・フェスティバルが今年で6年目を向かえた。世界中から、このフェスティバルのために集まってきた屈指のデザイナーたちによる、クラフト、建築、家具、プロダクツ、グラフィック、さらにはファッション、ファインアートの分野におけるあらゆるデザインが11日間に渡り、ロンドン中に氾濫する。そうとなれば、ダブルデッカーバスに乗って、チューブに乗って、ロンドン市中に散らばる150のイベントを回れるだけ回ってみたいもの。すこし肌寒い秋晴れの空の下、熱いデザイン魂に触れる旅に出よう。

ロンドン・デザイン・フェスティバル 2008

まず訪れたのは、ストランドのはずれにあるサマーセット・ハウス。噴水のある広々とした中庭が美しいこの壮大な建物の南側に、今年オープンしたばかりのエンバンクメントギャラリーがある。「Wouldn’t be nice,,,,」は同ギャラリーの二つ目の企画展となる。「あったらいいと思わない?」というタイトルの冠する通り、デザインの可能性、アートとデザインの関係性を問うのがその企画の趣旨である。 

まず鮮やかな赤が目に飛び込んでくる。アリシア・フラミスの「China Five Star」という作品だ。15人のファッションデザイナーに依頼し、デザインされた15のスタイルがずらりと並ぶ。一目で分かるのは、その全てが中国の国旗をモチーフに作られていること。よほどのセレブな方々ならいざ知らず、今やメイドインチャイナの洋服は世界中のクローゼットに納められている。けれど、その作業過程を担う女性たちについて、経済の格差について、わたしたちは多くを知らない。それぞれにドレッシーなデザイン、カジュアルなライダースジャケット、まるで彫刻のようなシルエットの一枚。ファッション心をくすぐる作品を目の当たりにしながら、その背後にあるものに思いを巡らせるデザインだった。

ロンドン・デザイン・フェスティバル 2008

椅子の足の上にのった棚、いくつもの引き出しをくっつけた巨大なチェスト。どうやら、スクラップになった家具を組み合わせて新しい作品を生み出すシリーズのようだ。このスタイルには見覚えがある。昨年ロンドンサウスバンクにある「デザイン・ミュージアム」で、100日間に100脚の椅子を作るインスタレーションを発表したマルチノ・ギャンパーだ。彼の作品にまたしてもここで出会った。様々な椅子のパーツを分解し、巧妙に配置して再構築した奇想天外なハンドレットチェアーも見応えがあったが、今回は家具全般。その名も「コレクティブファニチャー」だ。廃材を利用するというエコなところは、「北の国から」の五郎さん、もとい倉本聰氏の二番煎じともいえるが、そのデザイン性の高さやユニークさは、間違いなくギャンパーの勝ち。

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