周春芽(ジョウ・チュンヤ)

PEOPLEText: Hiromi Nomoto

ジョウ・チュンヤ(周春芽)は1955年重慶生まれのアーティストだ。1982年四川美術学院を卒業。その後ドイツへ渡り1988年にドイツのカッセル大学を卒業。現在は成都と上海を拠点とし、国内での個展や、国外で行われる多くの展示に参加している。主な作品に、「緑の犬シリーズ」「桃の花シリーズ」「岩シリーズ」がある。2013年3月12日から南京市の南京芸術学院美術館にて、新作「豫園(よえん)シリーズ」が公開された。

ジョウ・チュンヤ

新シリーズについてお聞きします。今回なぜ「豫園」(明朝末期に四川の役人によって造られた庭園で、現在は上海随一の名所である)をテーマとしているのですか?

豫園には400年以上の歴史があります。かつて上海では、政治経済の面で様々なことがありました。(清の時代に秘密結社である小刀会の司令部が置かれていたなど)それらはみな、この豫園の中で起こったのです。この歴史的観点から私は豫園をテーマに選びました。それに豫園には中国伝統の庭園があります。豊富であり複雑な場所です。

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「豫園五景之二」(部分), 2012, 2,720 x 4,080 mm, キャンバスに油彩

豫園シリーズの一部は以前上海で公開されましたが、全体を公開する展示はなぜ南京で行われたのでしょうか?

私は学生と交流したいと思いました(展示会場となった美術館は芸術大学構内にある)。作品は、李在・黄公望・李鱓など中国伝統のアーティストから影響を受けています。中国美術史において重要な時期のアーティストはみな南京にいました。私は絵を描く際に、彼らのことをよく考えます。彼らは既にこの世にはいませんが、彼らの魂、思想、芸術は今でもまだ残っています。南京で展示をすることは、彼らとの交流なのです。

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「グリーン・ドッグ」2001, 2,500 x 2,000 mm, キャンバスに油彩

日本で知られている中国人アーティストは、実はそれほど多くありません。数年前あなたの「緑の犬シリーズ」を知ったときに、とても素晴らしい作品だと感じ、是非紹介させて頂きたいと思いました。

そうですね。私は、中国と日本の文化交流はあまりに少ないと思います。政治ではなく、文化の面での交流と理解が必要です。そしてアーティスト同士で問題を考えるべきです。アーティストはとても平和的で、政治的な考え方とは全く違います。私はメディア取材を普段は断っていますが、中国には様々な個性を持ったアーティストがいることを知って頂きたいと思い取材を受けました。

私はもともと日本が好きで、ずっと行きたいと思っているのですが、2、3年前に領事館から拒否されてしまいました。なぜかは分かりません。日本の展示への参加が少なくて本当に残念です。「ジョウ・チュンヤが日本に行きたがっている」と書いて下さい(笑)

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「グリーン・ドッグ」2006, 1,500 x 1,200 mm, キャンバスに油彩

私はあなたの作品が多くの人に受け入れられると思っています。なぜなら私は「緑の犬シリーズ」で、これこそが “犬” だと大きな衝撃を受けました。まさに東洋美術の “写意” の感覚です。

「豫園」よりも「緑の犬」は、私自身ととても強く関連しています。あの犬は自分で飼っていた犬です。しかし彼は亡くなりました。精神的な存在です。なぜ犬を緑で描いたのか。それには具体的な考えはありません。犬は現実には緑色ではありません。色とはアーティストが自分で想像するものです。

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