アンドレアス・グルスキー展
HAPPENINGText: Maaru Hiyama
ドイツの現代写真を代表する写真家アンドレアス・グルスキーはプリントの大型化をリードし、現代社会を写し出す世界でも指折りの写真家であり、彼の写真は普通の写真では感じ取れない独特の美しさを持つ。
アンドレアス・グルスキー《F1ピットストップ IV》2007年、インクジェット・プリント、1,868 × 5,065 × 62 mm
Courtesy of Sprüth Magers Berlin, London © Andreas Gursky, JASPAR, 2013/14
まるでレンブラントを髣髴とさせるインパクトのある黒の使い方や、各々の動きが異なるが統一感のある構図は、瞬間の偶然性をその魅力として含む写真ではなく、対象を予め定める絵画の魅力を感じドキリとさせられる。
アンドレアス・グルスキー《シカゴ商品取引所 III》1999年、C‐プリント、2,230 × 3,070 × 62 mm
Courtesy of Sprüth Magers Berlin, London © Andreas Gursky, JASPAR, 2013/14
グルスキーといえば群集を作品のモチーフにしていることが多く、今回の展覧会にもその作品が多く見られる。しかし、彼は群集を人として撮るのではなくその「場」として撮らえているために商品取引所という資本主義の生々しい舞台にも関わらず生々しさが消え、つるんとした無機質の美しさが表れる。
アンドレアス・グルスキー《カミオカンデ》2007年、C‐プリント、2,282 × 3,672 × 62 mm
Courtesy of Sprüth Magers Berlin, London © Andreas Gursky, JASPAR, 2013/14
この作品は岐阜県に位置するニュートリノ検査装置スーパーカミオカンデが題材とされている。この圧倒される円筒形のタンクもさることながら、その側で船に乗った人々を敢えてその画面に含めることで画面に遠近感が生まれ、一気に引き込まれる効果を発揮する。
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