ロンドン・ファッションウィーク 秋冬 2008
HAPPENINGText: Sayaka Hirakawa
月曜日の朝5時。ポーランド・プレイスの大通りに面したヴィクトリアン・ハウスの前は、既にプレスやバイヤーでいっぱい。それでもブラックキャブは次々に、わくわく顔の顧客や、疲れきった顔のエディターを連れて来ては落としてゆく。どんどん押してゆくスケジュールにうんざりした顔を見せたりしちゃ駄目。待つのも並ぶのもロンドンっ子はぜんぜん平気。それでこそのロンドン・ファッションウィーク(以下LFW)なのである。
Ana Sekularac
さて二間続きのボールルームでのアナ・サクララックのショウは、ちょっとした演出からスタート。音楽が流れ出したとたんに、二つの部屋を仕切っていた壁がドアごとすとんと地面に吸い込まれた。なんだか窮屈な会場と思っていたところへ、抜け感のあるスペースが登場して一同にほっとするオーディエンスの面々。
伊コスモポリタン、デイリーメールのファッションデスクを経て昨年からコレクションを発表しているサクララックの今テーマは、「イタリアン建築」と「女闘牛士」。先シーズンから続く立体的でボリューミーな袖や襟のデザインは、幾重にも重なるフリルによりいっそう美しい彫刻作品のよう。フリルのブラウスや、きゅっとウェストをしぼったスカートは「勇敢かつ優雅」な、女闘牛士のコスチュームからヒントを得たものだろう。
モノトーンをベースとしながら、時にきりりとした発色の良い赤と青が使われている。牛と戦うことは稀かもしれないが、現代に生きる女の子たちだってそれなりにいろいろとたいへんなので、内面から強く磨き上げるとともに、すてきな戦闘服を、というところだろうか。
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