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JKD COLLECTIVE

PEOPLEText: Aya Shomura

2015年7月に設立3周年を迎え、先日その大規模なパーティーイベント「マルチバース」を東京で開催したばかりのクリエイティブ・スタジオ「JKD Collective」(ジェイケィディ・コレクティブ)。彼らは、従来の「広告」表現を飛び越え、次々と新しい作品を生み出してきた国内トップレベルのオーディオ+ビジュアル混成のクリエイター集団である。ここ数年、日本でも独立系クリエイティブ・スタジオが大手ブランドとの仕事に関わることができる環境が整ってきたとはいえ、映像だけではなく音楽制作までをも取り込んだスタジオは、世界的に見てもそう多くはない。所属クリエイターや関連スタッフのほぼ全員が英語での仕事を行なうことのできるJKD Collectiveの、第2ステージにおける重要なテーマの一つが「海外案件のプロジェクトの数を増やすことだ」と語るのは、代表のブルース・イケダ。彼に、これまでの代表作と、デジタル・クリエイティブの今と未来について話を聞いた。

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Bruce Ikeda, President and producer of JKD Collective

まず初めに自己紹介をお願いします。

JKD Collective(以下「JKD」)のブルース・イケダと言います。「新しい時代の映像コンテンツと音楽制作」に特化したクリエイティブ・スタジオの代表兼プロデューサーを務めています。国内トップレベルのオーディオ+ビジュアル混成のクリエイター集団と、様々なクライアント、エージェンシーを結びつけ、クリエイティブの新たな流れを生み出すべく、刺激的なコラボレーションを、日々手がけています。

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JKD Collective 3rd Anniversary Party “MULTIVERSE”, THE ROOM DAIKANYAMA, Tokyo, 2015

この7月で、JKD立ち上げから3周年とのことですが、設立経緯についてお聞かせ頂けますか?

元々は、ナイキのクリエイティブで知られるワイデン・アンド・ケネディに12年ほど在籍し、2003年以降は、社内ベンチャーとして立ち上げられたW+K東京ラボというオーディオ+ビジュアルのコンテンツレーベルのプロデューサーを担当していました。レーベル立ち上げから7〜8年が経った2011年頃、ひと通りの役目を終えたような節目を感じたこと、劇的に変化する時代の流れ、多様化するデジタルメディアやクライアントのニーズに応えるには、より広いフィールドで、細やかに動かなくてはならないとの判断から独立を決めました。


JKD Collective 3rd Anniversary Party “MULTIVERSE”, THE ROOM DAIKANYAMA, Tokyo, 2015

JKDは、基本的にはW+K東京ラボのスピンオフだと捉えています。2003年~2011年のレーベル活動期に培ったネットワークをもとに、クリエイター達それぞれの表現力とスキルを、新たな表現に対してチャレンジ精神を持った企業やブランド、エージェンシーとのコラボレーションに落とし込んでいます。

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JKD Collective 3rd Anniversary Party “MULTIVERSE”, THE ROOM DAIKANYAMA, Tokyo, 2015

2012年の設立当初と今とでは、デジタルコンテンツ、音楽や映像を取り巻く環境は特に大きく変化していると思います。どのように感じていらっしゃいますか?

劇的な環境変化がずっと続くこのパラダイムシフト感は本当にすごいですよね。色々な見方があるかと思いますが、一つはっきりしているのは、我々を取り巻く情報の量が、さらに増加し続けていること。情報で溢れそうになっているプールで足のつかないままの立ち泳ぎ状態の生活をしていて、泳ぎ方を知らないと溺れる勢いです。

そういう環境の中、人の心に到達できるコンテンツは、ある意味「本質に迫っていること」「本物であること」が求められてきていると感じています。「嬉しい、悲しい、面白い、驚いた」といった人間の原始感情にダイレクトに響くものである必要があり、ただ新しいテクノロジーを取り入ればよいというわけではありません。多くの情報で溢れ返っている今だからこそ、莫大な予算をかけてどうだと言わんばかりの古いスタイルの「広告」ではなく、もっと本質的に人間の五感に語りかけ、琴線に触れるハイクオリティーな「コンテンツ」が必要だと考えています。そのような表現を可能にするには、未来を見据える革新性の高いアーティストとの密なコラボレーションが不可欠です。見たあとに何かしらインスピレーションを感じることができて、センスが良く、質感のいい状態に仕上げられた「良質な動画コンテンツ」へのシフト。JKDが、キャッチしようとしているのは、その「波」です。

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