ジャムセン・ロー回顧展
HAPPENINGText: Samantha Culp
香港のアーティストの間では、映像が媒体として大きく成長している。未だに両親と小さなアパートで暮していたり、スタジオや材料が持てない若いアーティストが多く住む街では、比較的小さなスケールの映像(ただビジョン、カメラ、編集のためのコンピューターだけで作られたような)でも、とてもアピール力がある。1980年代後半に始まり、香港の先進的なアーティストたちは、沢山の映像作品を制作してきたが、ジャムセン・ロー程にその名を知られ、成功に到達した者は数少ない。
Matching 4 with 12 – Digesting Patience (2000)
この8月と9月に渡り、香港アートセンターは、ジャムセン・ロー映像作品の回顧展を開催している。初期の作品である「20 Beans + a Box」というアート・ドラマパフォーマンスのドキュメンタリーから、旅程やカオスの中にあるアイデンティティや時間についてを問った、最近の作品までが披露される。
Matching 4 with 12 – Mapping Vapour (2002)
香港中文大学のファインアート課程を卒業した後、ローは、香港初のビデオやメディアアート集団兼ギャラリーである、ビデオテージの代表になった。そして様々なインターナショナルフェスティバルや都市で、香港を代表する存在になる。彼は香港の映像アーティストの中でも最も知られている一人であり、エレン・パウや、ヤウ・チンのようなパイオニアでもある。また現在は、日本の情報科学芸術大学院大学(IAMAS)にて修士号を取ろうとしているところだ。
彼の回顧展の始めのプログラムは、8月27日、アニエスベー・シネマにてスタートした。最初に公開されたのは、彼の初の作品「Every Time We Say Goodbye」は、90年代初期の 「20 Beans + a Box」というパフォーマンスから作られた。シーンやアングルが重なり合い、パフォーマーがステージ上を歩き回るにつれ、それは次々に消えていく。子供時代を上演したそのステージでは、かんしゃくを起こしたり、動物のような動きをしたり、発作を起こして痙攣したりする。一人のキャラクターが同時にステージ上の2つの場所に現れ、2つの時間が同時に進行し、また一つの時間に戻るといった様子が、はっきりと記録されている。2番目の作品は「Matching 4 with 12」。この作品はローの作品や、一般的な香港アートの中で、批判としてよく議論される。
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