アートフェア札幌 2014

HAPPENINGText: Hanae Kawai

そんな注目のアジア圏のギャラリーも今回のアートフェア札幌のために興味深い作品を多数持ってきてくれた。

オフィス339(上海)からは日本と中国で活躍するふたりの女性作家が参加。そのうちの一人作家・長沢郁美は多数のアクリル画やドローイングを出展。今回のために新作も描きあげたそうだ。彼女にしか描けない少女たちや果物などが部屋いっぱいに並べられ、その可愛さに女性来場者からの人気が高かった。日本と中国をつなぐアーティストとして今後も期待してほしい。

アートフェア札幌 2014
1410号室 オフィス339(上海)

ギャラリー・グラン・シエクル(台北)では今回のアートフェア札幌のポスター写真としても起用されたツー・ハン・スの作品が注目を集めた。透明感のある作品はどこか神秘的で来場者を魅了した。それぞれの作品には人や謎の生物が登場し、そこから生まれる物語も魅力のひとつだったようだ。

アートフェア札幌 2014
1412号室 ギャラリー・グラン・シエクル(台北)

ソウルから出展したリソウル・ギャラリー(ソウル)では、韓国の伝統的な文化を引き継ぎつつ、独自にアレンジした作品が多く見られた。チョ・ヨンジュの3点は、韓国の工芸品である紙人形を平面へ織り交ぜるという、伝統的かつ斬新な作品。さらに彼女は風刺的なメッセージも込めていて、現代の人間の発展と破壊されていく自然や文化を作品のなかで強調しているのだ。このようにアーティストの生まれた場所や文化の違いから発見することは沢山ある。

アートフェア札幌 2014
1411号室 リソウル・ギャラリー(ソウル)

今年はアートフェア札幌のほかに、初めての札幌国際芸術祭も開催された。来場者は47万人を超えたという数値的に見える成功とは別に、様々な改善すべき点も多々見られ、まだまだこれから発揮されるべき可能性も感じた。ともあれ、札幌での2大アートイベント、アートフェア札幌と札幌国際芸術祭により、北海道はようやく、新たなアートマーケットとなるための第一歩を踏み出した。

冒頭でも述べたように、どれだけ北海道民をアートへ引き込むかが北海道アートシーンの鍵となってくる。そのためには、個性豊かな優れたアーティストが北海道にもいることをアピールし続けること、と同時に「外の力」を借りることも重要だ。道外・海外のアーティストやギャラリーと協力することで、今しか観れない!飛行機にのって行かないと観れないはずの作品がここ北海道で楽しめる!と、人々の興味を誘うことができる。アートフェア札幌はこの点をしっかり押さえていると感じる。来年、再来年と継続されればさらなる成果が得られるだろう。ぜひ次回の開催にも期待してほしい。

アートフェア札幌 2014
会期:2014年11月23日(日)11:00〜20:00、24日(月・祝)11:00〜19:00
プレビュー:22日(土)19:00〜22:00(招待客のみ)
会場:クロスホテル札幌
住所:札幌市中央区北2条西2丁目23
出展者:18軒 [客室2フロアー / 各ギャラリー各1部屋を使用]
入場料:1,000円(デポジット制)
来場者数:1,500人
フェアディレクター:大口岳人(クラークギャラリー+SHIFT)
アドバイザー:戸塚憲太郎(NEW CITY ART FAIR ディレクター)
主催:アートフェア札幌 2014 実行委員会
共催:クロスホテル札幌
特別協賛:アウディ札幌東
https://www.artsapporo.jp/2014/fair/

Text: Hanae Kawai
Photos: Yoshisato Komaki

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