アートフェア札幌 2016
HAPPENINGText: Ayumi Yakura
国内外から18軒のコマーシャル・ギャラリーが集結し、各都市のギャラリストが選りすぐりの作家達の作品をクロスホテル札幌の客室で展示販売する、国際的な現代アートの見本市「アートフェア札幌 2016」が11月下旬に開催された。
アートといえば、白い壁の美術館で静かに鑑賞するイメージがあるかもしれない。しかし、ホテル型のアートフェアはそうではない。各客室がギャラリーの出展ブースとなっており、ベッドやソファが置かれた部屋にアート作品が飾られている。アートのある生活を想像しながら作品を見てまわることができるのが特徴だ。今年も2フロアを貸し切って行われた。
本イベントは、都市に芸術文化を根付かせる為に不可欠な「アートマーケットの創出」を目的として毎年開催されている。4年目の今年は、昨年に増して「アート作品を購入する」(ことを意識した)楽しみが定着し、気に入った作品を見つけた来場者の笑顔が多く見受けられた。全体の来場者数も年々増えており、売上は前年比120%を記録した。
今年は、次世代のアーティストがアジアで活躍するきっかけを生みだす新感覚のアートフェア「アンノウン・アジア」との連携により、本フェアの開幕直前に、アーティストを対象とした「ポートフォリオ・レビュー」(作品講評会)も行われた。
[連携企画] UNKNOWN ASIA「ポートフォリオ・レビュー」 Supported by Peach
レビュアー(講評者)は、「アンノウン・アジア」プロデューサーの谷口純弘(FM802/ディグミーアウト)と、「アジアン・クリエイティブ・アワード」プロデューサーの庄野裕晃(ビジョントラック/ウビエス)。さらに、「アンノウン・アジア 2015」に審査員として参加した戸塚憲太郎が加わり、札幌のアーティストが国際的な視野を持った現代アートシーンのキーパーソンに講評を受けられる貴重な機会となった。さらに、本イベントに参加したアーティストの中から1名が、「アンノウン・アジア 2017」に出展料無料で招待される予定だ。
また、2日目には特別企画として、「アートフェアの楽しみ方」と題したトークイベントが開催された。ナビゲーターは、hpgrpギャラリーのディレクターで、東京の「青参道アートフェア」やニューヨーク・台北の「ニューシティアートフェア」等を手掛ける他、本フェアのアドバイザーも務めている札幌出身の戸塚憲太郎。特別ゲストには、「ワンピース倶楽部」代表の石鍋博子、同北海道支部長の山本謙一(建築家)を迎えた。
[特別企画] クロストーク「アートフェアの楽しみ方」
「ワンピース倶楽部」は、アートマーケット拡大のため、楽しみながら最低でも1年に1作品を購入して発表するという現代アートコレクターの団体だ。アート作品を所有する楽しみは、いわゆる富裕層だけの特権ではない。必要なのは少しのヒントであり、宝探しのように見つけたお気に入りのアート作品を自分の部屋の好きな場所へ飾って眺める充実感は何ものにも代え難い。今年、北海道支部が設立されたことで、北海道にもその輪が広がっていくことを期待したい。
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