クラウディオ・ギル

PEOPLEText: Mariano Werneck

クラウディオ・ギルは、リオデジャネイロ、ブラジルに拠点を置くアーティスト、教師、デザイナー、そしてプロのカリグラファーである。彼は現在、リオデジャネイロ州立大学の修士課程でデザイン史を研究している。2004年以来、彼は初心者、学生、様々な分野の専門家へのワークショップを通じてカリグラフィーを広め、国内の様々な場所でその現代における可能性を探求する活動を続けてきた。

クラウディオはブラジル全体で多くの展覧会に参加しており、ニードル、ブラシなどの変わった道具を使ったり、100m以上もの長さのある紙や80mの布に描くなど、カリグラフィーの限界を押し広げてきた。彼はサンクトペテルブルク、モスクワとベリーキーノブゴロド、ロシアの4つの都市でカリグラフィーの国際的な展示会に参加した唯一のブラジル人アーティストである。彼の作品の一部はロシアの現代カリグラフィー美術館にコレクションされている。

Cláudio Gil
Teaching at a workshop in São Paulo, 2012

経歴について教えて下さい。

これまで12人のチームで雑誌を出版したり、5年前からデザインスタジオを持ったりと、2004年に卒業するまでにすでに15年ほどグラフィックデザインに携わっていました。当時ライノタイプ社の環境、フォトメカニック、フィルムレタッチなどの全てに関わっていました。たとえこれらの過程が全てデジタルになっているとしても、このとき学んだ知識は私にとって大きな価値があります。私がデザイナーとして仕事を始めたときにはすでに、紙、インク、様々な印刷プロセスの知識を十分に持っていたのです。現在は、修士号取得に取り組んでいますが、より良い作家、研究者、教師となるために、常に人との出会いや新しい発見をしたいと思っています。

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Practice for a Shakespeare’s Sonnet Piece, 2008, Arts on handmade sketchbook by Gabriela Irigoyen, Actually this sketchbook is temporary in Contemporary Museum of Calligraphy, Moscow, Russia

カリグラフィーへの関心はグラフィックデザイナーとしての仕事からきたのですか?

本当に早くからカリグラフィーを始めました。11か12歳の頃から文字を描画していたと思います。2008年に仕事を辞め、手描きのアートとしてプロの道を選びました。その年の初めにリオで展覧会を開催し、ワークショップやセミナー、プロモーションのためにブラジル中を巡ることで様々な経験をしました。

しかし、始めはタイポデザイナーに興味があり、カリグラフィーの事はほとんど知りませんでした。今ならYouTubeで「カリグラフィー」を検索すれば、実践を見ながら多くのことを学ぶことができるでしょうが、当時は良い本を探して勉強するしかなく、簡単ではありませんでした。この方法は確かな基礎と正しい方向を示してくれました。

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Commissioned caligram, watercolor and guache on paper, 33 x 31 cm, 2011

カリグラフィーを制作する上で完璧主義者ですか?また、制作する上でどのように全体のバランスを参照しますか?

完璧主義者と言えますね。重要なのは文字バランスを知る事です。文字の動き、パスは、使用している道具によって変わります。ヘルマン・ツァップは二次元の建築と考えていると言っていますが、本当にそうだと思います。手が訓練された動きを再現できるようになるまでには、繰り返しまねをする事です。古い本を手に取り、カリグラフィーの本で学び、色々なスタイルを試す必要があります。基礎を学び、知識を身につけた後に枠を越えた作品ができ上がるのだと思います。トレース方法はとてもユニークで、それぞれのやり方がります。この2000年もの間どういった書体があったのかを学び、そこに新しい要素を加え、自分の物にしていきます。偉大なデザイナーであるフルティガーとツァップも、ギリシャ文字などを発展させた作品を制作しています。

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