トラフ建築設計事務所

PEOPLEText: Noriko Yamakoshi

素材から受けるインスピレーションは大きいですか?

かなり大きいですね。素材にはとても興味があって、常に素材サンプルはオフィスの棚に沢山あります。先ほど条件を手がかりに問題を解決していくという方法をお話しましたが、そういう進め方もある一方で素材だけを眺めてみて、これだけでも面白いものや空間を作れないかなと発想を広げていくようなアプローチもします。

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NIKE 1LOVE, 2007 Photo: DAICI ANO

クラスカやフライターグの店舗、NIKEオフィスなど、リノベーション案件の作品も多く手がけていらっしゃいますが、先ほどの「問題の逆アプローチ」や「余白を残す」という考え方にも表れているかもしれない「視点を変える」という手法はこういったリノベーションプロジェクトでも理にかなった考え方だと感じますか?

そうですね。いま本当にモノも溢れているし、そういう中ですこしでも視点を変える発想ができたらなとは常に思っています。様々な縛りや条件があるなかでの作業も多いので、それが逆にやりがいでもありますね。

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FREITAG Store Tokyo, 2011 Photo: Sebastian Mayer

例えばフライターグの店内の梁の部分に藁や荷札などが残っていますが、実は元々建物にあったものを生かしたと伺いました。

そうです。そういった選択はとても大きいですね。作業中、変えて欲しくない場所には「キープ」というシールを貼ったりしていかないと、どんどんキレイにされていってしまったりするのです(笑)。明確な視点を持って、リノベートする所と残すところをきちんと考える、古い部分とのバランスを考慮することはとても大切です。だからペンキを塗る場合でも、必ずしも隠すとかいう目的ではなかったりもします。

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