コンタクト・ゴンゾ

PEOPLEText: Mariko Takei

格闘技を思わせるスリリングなパフォーマンスを繰り広げることで、国内外から多くの注目を集めているパフォーマンスグループ「コンタクト・ゴンゾ(contact Gonzo)」。2006年のグループ結成以来、コンタクト・ゴンゾは、グループ名として、その活動メソッドとして、自在に変化を遂げながら、国内外のあらゆる空間で即興的な身体の接触を展開している。5月15、16日に山口情報芸術センター[YCAM]で開催される「YCAMパフォーマンス・ラウンジ」でのパフォーマンスを控えたメンバーの塚原悠也氏にインタビューした。

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Photo: Toda Yoichi

メンバー構成含め自己紹介をお願いします。

コンタクト・ゴンゾ。現在、三ヶ尻敬悟、加藤至、金井悠、塚原悠也という4人で活動を展開しています。体と体をぶつけあうパフォーマンスを軸に、撮影された映像や写真を使っていろいろ遊んでいます。
はじまりは、2006年です。僕(塚原)と、現在はフリーのダンサーとして活動している垣尾優との二人ではじめました。実際にメソッドとしてのコンタクト・ゴンゾらしきものを始めるまでは、この二人で巨大な坂を転げたり、落ち葉をキャッチするなどの行為を撮影したり、六甲山の垂直の岩場を必死に登ったり、あげく遭難しかけたりしていました。最近は、この映像のように、コンクリートの坂を落ちたりもしています。これまでの、コンタクト・ゴンゾとしての活動は、簡単にですが、ウェブサイトでも紹介しています。

一見すると殴り合いのようなパフォーマンスなど個性的な活動が話題ですが、これまでに、どのような活動をされてきましたか?

ほんとうに場当たり的な活動なんです。手当たり次第に、電話ボックスから飛び降りたり雪山で槍投げのトレーニングをしたり、ちょっとイタズラしたりもします。

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コンタクト・ゴンゾという身体表現を展開するようになった経緯を教えて下さい。

垣尾優が「公園で接触を試そう」と誘ってきたのが直接的な始まりです。僕自身はずっとサッカーをしていて、体がぶつかったり吹っ飛んだりすることに興味がありました。
垣尾は武術マニアである側面もあったので「月刊秘伝」という雑誌を立ち読みしてそれを公園で試したりしてましたね。そのころ、僕はロシアに「システマ」というものがあるらしいとのことで、よくその動画を研究して、夜中に公園で垣尾に報告していました。そうして二人で試した中でできあがった何かしらに「コンタクト・ゴンゾ」と名付けました。身体表現そのものへの興味は「それが誰の手にも入らない」ということにあります。

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Photo: Toda Yoichi

パフォーマンスは全て即興ですか?何かルールみたいなものは設定されているのでしょうか?また、パフォーマーの身体の接触という身体表現を殴り合いのようなカタチで表現するようになったのはなぜですか?

パフォーマンスは全て即興です。基本的には始まってからどないしたろうか、考えますね。思いつかないときはストレッチしてる振りをして待ちます。いずれにしても誰かとぶつかり始めたら、自ずと波が形成されてきます。ルールがあるとすれば「顔面を拳で殴らない」ということでしょうか。予想外のことが起こっても、その事実をそのまま認識できるような「瞬発力のある脳」があることを願っています。

と、ここまで答えてきて、「予想/予想外とは何か」ということが問題なのかな、と自問し始めてきました。間違いの起こし方や、進化におけるエラーの役割等をもっと研究したいです。人が出来事を出来事として認識する仕組みの解明というのか。物理現象は本来人間に対してとてもクールなものでもあります。出来事とは人間にとってのことでしかありません。
そのへんにこの質問への回答の兆しがあるのではないかと思いますが、ここから先は言葉にするのにまだもう少し時間がかかりそうです。

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