河地貢士

PEOPLEText: Mariko Takei

マンガやスナック菓子など、日本人に馴染みのあるモノを素材に作品を創作してきた河地貢士。彼が日常的に目にするモノに着目して作り上げる新たな世界は、コミカルな表現で溢れ見る者の笑いを誘う。今回、SHIFT4月号のカバーを手がけてくれた注目の作家は、4月1日から「うまい棒」で創作した作品の展覧会「うまい仏〜THE SNACK AGE〜」で新作を発表する。

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自己紹介をお願いします。

河地貢士(かわち・こうし)です。儒教の「孔子」とB’zの「稲葉浩志」と同じ名前です。岐阜県多治見市出身。東京都在住です。

現在、現代アーティストとしても活動していらっしゃいますが、これまでに至る活動の経緯を教えていただけますか?

大学は名古屋芸大で、デザイン科の造形実験コースを専攻してました。ここはデザイン科なのに現代美術的なことをする特殊な所でした。ちなみに僕の卒業制作は「名古屋芸術大学卒業制作展対策本部」というもので、会場の美術館内に体育祭などで使われるテントを張って、長机とパイプ椅子とお茶と灰皿と昨年までの卒業制作で制作された作品の資料を配して、無人の対策本部を展示しました。

就職はMacが多少使えたので、東京のデザイン会社に就職しました。この会社は3ヶ月で退職。次を探している途中に「WIRED(日本版)」(現在は廃刊)でイラストを描いてたりしました。その後、YMOなどのアートディレクションで有名な奥村靫正氏の事務所「THE STUDIO Tokyo Japan(現TSTJ)」に入社。入社早々まかされた仕事は、村上隆の個展のフライヤーでした。

数年の修行の後に独立。書籍やCDや広告などのいわゆるグラフィック系のアートディレクション、デザイン、イラストを生業として忙しい日々を過ごしていました。そんな中、3年ほど前のことですが、祖父が亡くなりました。身近な人の死を初めて体験して「人には本当に終わりがあるんだな」ということを実感しました。この直後に制作した作品が、うまい棒を仏像に彫った「うまい仏」でした。それまでは忙しい仕事の合間をぬって細々と作品を作っていたのですが、これを境に現代美術作家としての活動に力を入れはじめました。

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スティーブ・ベイカー
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